ハート探偵の調査日誌

小説です。毎週(土)、(月)の朝4時から7時くらいに更新してます。

調査ファイル⑬「ナル」(解決編)

 前回の話はこちら→https://sumifushiun.hatenablog.com/entry/2022/10/01/042926

〈前回のあらすじ〉

 Naru「UOooooooooooooU!! もうお前らのことなんか知るかー!! オレの音楽を学校中に響かせてやるぜぇー!! HyahHooooooooooooooU!!」

 GyanGyaGyaGyanGyaGyaGyanGyan、GyaaaaaaaaaaaaaN!!

 

 音楽家のナルくんが暴走して、暴力的な歌を発するようになってしまった。うちらは彼を止めるべく、リオン、カイくん、ソウくんとともに、彼を追って音楽室へ……。

 

 

 2022年6月28日(火)、音楽室——…。

 

ナル「………」

 

 やっぱり音楽室にいたか。音楽室はいろんな楽器が置いてるからね。音楽好きには落ち着くのかも。でも、さっきまでギター弾いて叫んでる声が聞こえてたのに、今は静かだな。どうしたんだろ。

メイ「ドアからじゃよく見えない。中入ろうよ!」

アン「クラスのみんなが来るまで待ってよ。せっかくリオンたちに呼びに行ってもらってんだから。それに、ソウくんにはあれも取りに行ってもらってるし……、!、待って」

メイ「え?」

 ナルくんがなにか言ってる。ひとりごとのようだけど…。

 

ナル「あーあ、結局こんなとこに逃げてきちまったな…。自分の歌をだれも聞いてくれないからって、暴れちまった……」

 だれも聞いてくれない?おかしいな、彼昨日、男子たちの前で歌って、みんなで盛り上がってたのに。聞いてくれてたはずだけど。

ナル「空組のヤツらはちゃんと聞いてくれたのになー。またちゃんとした歌作ったら、そのときは聞いてくれるかなー。いや、無理か…。あんなに暴れちまったからなー…。あ——、ったく、なんでみんなわかってくれねぇんだよぉ…。そんな曲作ってる暇あったら勉強しろって、なんでそんなこと言うんだろ…。オレは歌うのが好きなのに…。………、」

 

アン「キミがあんな暴力的な歌を作った理由、そういうことか」

 

 ………、

ナル「んな……!!」(ギクッ…!)

 

 ざわざわ…。

ミオ「こんなとこにいたの…」

トウカ「まさか音楽室にいたなんて……」

カイ「ナリック、お前やっぱり…」

リオン「お前、聞いてくれなかったって……」

 

ナル「お、お、お前ら…!!なんでここが…」

アン「ここ、音楽室からキミの叫び声が聞こえたから。せっかくだから、クラスのみんなにも来てもらっちゃった」

ナル「u…GUGU…!」

アン「なるほど。キミが急にうたい出したあの暴力的な歌は、曲を聞いてくれない、自分の歌を否定するやつらへの反発ってわけね。さーてと、メイちゃ…、あれ?」

 

メイ「あれ、ピアノの上…、なんか楽譜が置いてる。なんの曲だろ……、!、あれ、この曲って…」

ユリ「ん、弾けるの?」

メイ「うん!だってこの曲は…、」

 

 なーんだ、お取り込み中か。じゃ、一人でやっちゃお。

 

アン「もう一回言うけど、キミが暴走した理由は、自分の歌を聞かないやつらへの怒り。それともう一つ、理由があるはずよ。それがこれ」

ナル「!!、な、なにぃ!?お前、なんでそれを…!」

 

 CD『ファイトだYO!』

 

ナル「それはオレの新曲…、なんで…!!」

アン「この新曲のCD、ソウくんから借りたものなんだけど、歌詞カード見たら、やけに話が具体的なのよね。部活でけがして、部活を休まなきゃいけなくなったって。これ、だれかの話をモデルにしたんじゃないの?」

 

?「…!!」(ギクッ…)

 

アン「そして、そのモデルになったのが、キミだ」

 ↓

ソウ「!!」

 

みんな「!?」

ナル「!、ドキィ…!!」

 

アン「そっ。この曲はソウくんを思って書いた曲だったってわけだ。これ、歌詞カード。みんな近くで見て。読み上げるのははずかしいから、見て」

ミク「え、なになに…?」

 

 『部活でけがしたってー! ちょっと間部活できなくなったってー! 気にしなくって、いいっYO! ふぁ、い、と、だYO!!』

 

カスミ「あ、ほんとだ。部活でけがしたって書いてる…」

アン「カイくんから聞いたのよ。ソウくんがけがで部活を休んでること。それを聞いてピンときたよ。ソウくんにキレたのも、その曲を聞いてくれずに、がんばって作った自分の気持ちを踏みにじったから」

 

 ——新曲できたって言ったら、お前が聞きたいって言うから、CD渡したんだZO!?

 ——あ、ああ、そういやそうだったな。わりっ、忘れてた…。また今度聞いとくわw

 

ソウ「——……」

ナル「う………、うるせぇ…」

カイ「お、おい、ナリック…」

リオン「お前…、」

 

Naru「うるせEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」

 GyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaN!!

 

アン「ちょ…!」

 おいおい…、また暴走かよ!

 

Naru「お前らにー、オレの気持ちがわかるもんかー! 中途半端にわかったふりなんかされたくねぇんだよー! AH YEAHhhhhhhhhhhhhh!!」

 GYOGYAGYAGYAGYAGYAaaaaaaaaaaaaaaaaN!!

Naru「アーウ!もっと響かせろー!! AH AH AH!! オレの音楽をバカにするヤツなんてー、みんなだまってりゃいいんだー!! AH YEAHAaaaaaaa!!」

 GyaUnGyaUnGYAAAAAAAAAAAAUN!!

 

カイ「…!ナリック……!!」

リオン「おい!やめろよ…、ナリック!!」

ソウ「……!」

アン「くっそ、うるさくて止めれない…!やめろって言っても聞こえないし……、」

 どうすれば……。止めれないの…?彼の音楽の暴走。

 

Naru「アーウ! アーウ! アウアウア―――――――ウ!! AHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!」

 GYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNN!!

 

 ―――――――…!、……、

 

 ♪

 

アン「ん…?」

 なに…?今の音…、なんか聞こえたような。ピアノ……?

アン「……、」

 !、あれ、ピアノ弾いてるの…、メイちゃんだ。

 

メイ「———、」

 ♪~

 

ナル「AAAAAAA……、ア?、……」

 ナルくんの歌が止まった。

チカ「ピアノだ…」

ミオ「…、うん」

ミク「メイちゃん、ピアノ弾けるんだ……」

 ♫~

みんなびっくりして聞いてる。

 

 ~♩…………………。

 ……………。

 

メイ「ふ———、できた……!うち、この曲中学の合唱コンクールで弾いたんだ♪」

 ……。—、

 

 パチパチパチ!

 

エミ「すごい!」

アキ「メイちゃん、ピアノできるんだ…、へー…」

ユリ「すごい、懐かしいー!」

レイナ「急に弾くから、びっくりしたよ…」

メイ「ごめんごめん、楽譜が置いててさ、久々に弾いてみたくなって笑。この曲もしばらく弾いてなかったけど、楽譜見たら意外とまだ弾けるなぁ…」

ミカ「すっごい!なんか、あれだなー…」

マイ「そうそう、あれあれ!」

メイ「ま、途中ちょっとミスりそうだったけどね…」

 わいわい…。

 

ナル「な、なんなんだYO…、あの音は…、あの感じは……!」

アン「!」

ナル「———!音楽なんて、何の役にも立たないって…、そう言われてきた…!!」

 

 ——ギターできんの?すっげー…、え、曲も作ってんの!?

 

  [回想]

 

 カイ「ギターできんの?すっげー…、ギタリストじゃん」

 ナル「まあ、趣味程度だけどね。一応曲も作ってる」

 カイ「え、曲も作ってんの!?マジで…?」

 ナル「マジマジ。あ、せっかくだから、聞いてみてくれよ。ちょっと今時間あるか?」

 カイ「え、そんなすぐ弾けんの?、って歌もうたうのかよ!すげえな…」

 

 それから、放課後はよく…、

 

  Bororon、Bororon…。

 ナル「NA~NANA~NA~NA~!」

 カイ「ハハハ!いいねw」

 

  ZyaaaaaaaaaaaaN!

 ナル「YEAH、YEAH! 腹の底から声出すぜー! YEAH!」

 カイ「YEAH、YEAH!」

 

 ナル「でよ、音楽なんてやってても何の役にも立たないから、そんなことしてないで勉強しろって言うんだよ、周りは」

 カイ「えー、マジで?この多様化の時代に?」

 ナル「そっ。それで、小学校とか中学校でも、全然聞いてもらえなくてよー。お前くらいなもんだ、オレの曲を聞いてくれるなんてな」

 カイ「じゃ、オレ恩人か。いいなー、それw」

 

 ソウ「羽根元、なにやってんだー?」

 リオン「ギター?」

 カイ「おお、二芽、リオン。そうそう、コイツ、超・鳴律句(スーパー・ナリック)!歌が上手ぇんだ」

 

 トウジョウ「ナリックー!今盛り上がりたいんだよ!一曲頼むよー!」

 エイ「ナリックの曲はいいよなー!楽しいぞ――!!」

 

 ソウ「新曲?へー、できたの?聞かせて聞かせて!」

 ナル「じゃ、CD貸してやるYO!タイトルは、『ファイトだYO!』だYO!」

 ソウ「へ——、ファイトソング系?わ、楽しみだぁ…。ありがとう、聞いとくよ」

 

 

 ———…、

ナル「そう言って、聞きたいって言ってくれてうれしかったのに…!適当に聞かずに流されてるの見て、思い出しちまったんだYO!!だれにも聞いてもらえなくて、バカにされてたときのことをYO…。お前らが聞いてくれなくなったら…、オレの歌がまた聞いてもらえなくなる!そんなの、オレも辛いけど………、生まれた曲たちが!!かわいそうじゃねぇかYOOOOOOOOOOOOO!!」

 DOBA!!

 

ナル「U…UooU……!UooooooooooooooooooU…!!」

 

リオン「—ナリック。———……」

カイ「——」

 

ソウ「……………。——、今、ギター持ってんじゃねぇかよ…」

ナル「E……?」

 

ソウ「わ、悪かった……。…、今聞かせろよ、その曲、名前は……、たしか、『ファイトだYO!』だっけな…」

 

ナル「!!…、」

ソウ「い…、今…、部活ができなくて嫌な感じだからよ…、その…、ナリック、盛り上げてくれねぇか…?」

ナル「U…!!」

 URUっ……!!

 

Naru「も、もちろんだYO!!行くぜ―――!!みんなっ、聞いてくれぃ!ソウに向けた新曲、心を込めてうたうZE!っあ、NEW MUSIC、『ファイトだYO!』!!」

ソウ「あ、普段通りでもうるせー!」

リオン「お…、同じく――!」

カイ「よーし、いいぞー!やれー!超・鳴律句(スーパー・ナリック)!!」

 

 ZYAaaaaaaaaaaaN、ZYAZYAZYAZYAZYAaaaaaaaaaaaaaaaaaN!!

Minna「そーだ、それだ—————!!」

 

アン「あー、真実をつかんだのはいいけど、相変わらずうるさいなぁ」

 まあでも、よかったよ。ちゃんと聞いてくれる人がいたじゃないか。ナルくんよ。

 

Naru「ときにー、キミ。ピアノが弾けるのかい?」

メイ「え?あ、は、はい!」

Naru「よーし、連弾だぁ!行くぜ―――――!!」

メイ「え?そんな…いきなり!?」

Naru「適当に弾いてくれたら合わせるからっ!じゃ、行くぞ―――――――!!Ahhhhhhhhhhhhhhhhhh!!」

メイ「もう…!そんな、急に言われてもさぁ…!」

ミク、カスミ「がんばれ――!メイちゃ―――ん!!」

 

 WAaaaaaaaaaaaaaaa!!

 

 後日、学校に行くと、ナルくんの曲のCDがクラスの棚に置かれてた。どうやら、みんなここからレンタルして聞くことができるらしい。ちなみに、ソウくんのお気に入りの曲は、………、いや、言うのははずかしいから言わないけど…、あの曲なんだそうで……。

 

次回お楽しみに

 次回は10月8日(土)更新予定です。

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