ハート探偵の調査日誌

小説です。毎週(土)、(月)の朝4時から7時くらいに更新してます。

調査ファイル⑫「チカ」(解決編)

 前回の話はこちら→調査ファイル⑫「チカ」(事件編) - ハート探偵の調査日誌 (hatenablog.com)

〈前回のあらすじ〉

 『ユリとミオがチカの悪口を言ってる』

 そんなうわさをきっかけに起きた、チカさん、ユリさん、ミオさんのけんか。そこでチカさんは、言ってしまったんだよね。

 

チカ「説明なんかしなくていい。うちはもう……、友達じゃない…!!」

 

 これだけ言ってしまったとなると……、

アン「オレとキミはもう、チカさんのことはあきらめよう」

メイ「ぇ……」

 

 

 2022年6月20日(月)、放課後——…。

 

ユリ「……」

ミオ「どうしたんだろ、チカのヤツ…、なんであんな……」

 

 ——どういうことなの!?おごってくれるとこしかいいとこないって!!そうやってうちをいいように使ってたってこと…!?

 ——べつにそうやって使われるだけだったら、友達じゃなくていい…。そんな先生に怒られて泣いてるようなヤツと一緒になんて、

 ——友達って感じだったからかばってあげてたけど正直かっこ悪くてずっと笑いそうだった!!どうせミオだって、コイツと同じようなヤツなんでしょほんとは…!!

 

 チカさんからあんなにも言われまくって、ユリさんとミオさんは呆然としてた。

アン「言ったろ。さっき説明したうわさのせいよ」

ミオ「わかってるよ…。悪口言ってるってうわさでしょ」

アン「そうそう。まあ、一応言っとくと、そのうわさで不安を積んでたのはあるけどね。だから許せってわけじゃないけど」

ユリ「わかってるよ。わかってるけど……、なんでこんなことなんのよ——………!」

ミオ「……、—!」

 

メイ「あきらめようって…、もうどうにもできないの……」

アン「うん。事情がどうであれ、言っちゃならないことを言ったから。ユリさんは過去の嫌な事件も掘り起こされたし、ミオさんもそこに巻き込まれた。うちらがなんとかできる話じゃなくなってるのよ、正直」

メイ「…、そんな…。今までいろんな事件を解決してきたじゃない、アンは……!」

アン「——、だから…、無理だって…。もう友達じゃないって言ったのが、真実だもん」

 奥にまだ隠れた真実があるんだったら、オレはとっくに調べてるっつーの。できないのよ。今回はもう、そんなのないんだから。

 

 翌日、6月21日(火)

 

 昨日の事件から1日経った。時間が解決なんてことは当然なく、前後、隣の席の3人はしゃべらないけど、辛そうだ。

 

トウカ「なんかあったの?全然しゃべんないけど、アイツら…」

アン「いや、昨日の見てたでしょ?昨日の昼休みのあれ。あれが…、」

 ……。

アン「…そー…、あれが、人生のまちがえた瞬間…|||」

メイ「しんみりしないの!こんなときに(怒)」

 

チカ「………」

 ユリさんとミオさんが教室の外に出ていって、チカさんだけ残った。

メイ「…、———…!」

 ………。

 ———、——…、

 

メイ「ねぇ、チカちゃん♪」

 

 !

 

アン「———!?、……」

チカ「……なに…?」

メイ「…い…、いい天気だね、今日♫」

チカ「…!」

 

 おいおい、嘘……。そんな無計画に話しかけるなんて、なに考えてるのよ…。突っぱねられて終わりだよ……?

 

メイ「チカちゃんは今日は チカ「やめて!!」

メイ「え…」

チカ「は———っ…、うちが寂しがってると思った…?w馬鹿にしないでよ…。余計な気遣いなんて結構!今うちに話しかけないで!!」

 

 …、こうなったら、もうあとには退けないな。進むしかない…!

アン「ね、トウカさん?(こそっ)」

トウカ「ん?なに…?」

アン「静かに。みんなに気付かれないように。オレの携帯に電話をかけて(ひそひそ)」

トウカ「え?な、なんでそんなこと…、!、…、もしかして、そういうこと…?(ひそひそ)」

アン「そう。そういうこと!じゃあ、オレはちょっと出かけてくるから(ひそひそ)」

トウカ「き、気を付けてよー!(ひそひそ)」

アン「わかってるって!そっちこそ、周りにバレないように、スピーカーオフっといてよ。じゃ、頼んだー」

 ———。

 

メイ「で、でもさっ、」

チカ「でも、なに……?ほっといてよ…!!おねがいだから…、一人にして!!今話したくない!!」

メイ「—っ、———」

チカ「うちは…!!あの二人にだまされてたんだよ…?馬鹿にされて、お金も取られた……。あんなに仲良くしてたのも、嘘だったんだよ、わかる?この気持ち…」

メイ「わ、わからないけど…、でも チカ「じゃああっち行け!!迷惑!!」

メイ「……!!」

チカ「はぁ…はあ…はぁっはぁ…はぁ…、じゃまだから……!」

 

 ……………。

 

メイ「………いやだ」

チカ「……ぇえ…?」

 ……、

メイ「アンは…もうキミのことあきらめてるから…。もうこっちからできることはないって言ってるから…。アンがあきらめちゃったら…、もうだれもチカちゃんを助けてくれない……!」

チカ「だ…だったら、このまんまうちを見捨てればいいでしょ…。関係ないんだから」

メイ「だ…、だって……、」

 ——…?

 

メイ「だって!!だれも助けてくれないんだったら…、わたしが助けなきゃ、チカちゃんは一人になっちゃう!!」

チカ「!!、え…」

アン「———……」

メイ「うっ…わたしは…アンみたいに人の気持ちを読んだりできないから……、そんな器用にできないけど…。でも…チカちゃんのこと助けたい…!!——だって…あんまりじゃない…!!今まではみんな助けてもらってたのに!!チカちゃんだけ無理だって言って助けてもらえないなんて!!」

チカ「———っ……!!」

メイ「そんなの…ダメだよ……。そんなの……!!——ぅ、うぅ…」

 

 ………。

 

チカ「……、嘘…だったのかな…」

メイ「……ぅ…え…?」

チカ「——、あんま考えたくなかったけど…、うちが聞いた、あの二人が悪口言ってるってうわさ…、もしかして最初から全部…!!嘘だったのかなぁ……!!」

メイ「———、……わからない…」

チカ「もし…嘘だったら……、うち、なんでこんなことしたか…わかんなくなるじゃん…!!———、あんなに怖かったのに……!!ぅ…あんなに…、悔しかったのに……!!それであの二人にさ…——、———!!」

 

 —————、

メイ「…じゃあ…、あの二人にもっかい話してみたら…、」

チカ「できないよ」

メイ「え…?」

チカ「……!!できない…そんなの……!!」

メイ「なんで…」

チカ「もし……、うわさが本当だったら…!もし本当だったら…、それで謝っちゃったら…うちどうなっちゃうの…?また悪口言われて……、お金取られるよ……!!」

メイ「—、——…」

 

チカ「う………、うちはもう…、どうしたらいいか…わかんない…!!」

 

 う…うぅ……!!

メイ「————…」

 ………。

 

アン「今だ。入って」

 ガラッ。

ユリ「…」

ミオ「や、やあ…、チカ……?笑」

 

 !

 

チカ「え…、ユリ…、ミオ…。なんで…。出かけてたはずじゃ…、」

アン「ん」(これ見て)

メイ「!、携帯…」

 さっきトウカさんにオレの携帯に通話をつないでもらって、教室の音声をユリさんとミオさんに聞いてもらってた。メイちゃんがチカさんに話しかけた後で二人を追いかけたから、途中からしか聞いてもらえなかったけど。だって、メイちゃんがあんなことするなんて、思わないもの……。

 ふーっ…、うちらの仕事は今度こそここまで…。あとは3人に任せよ。

 

チカ「—!———……」

ミオ「あの…チカ、信じらんないかもだけど…。うちら、アンタのことバカにしてたつもりはないのよ」

 ……。

ミオ「…、ね、ユリ」

ユリ「……、うん。奢ってくれるとこしかいい所ないとか、そんなのも言ってない。まあ…、そう言われても、信じられないと思うけど…。——、——、バカね……。なんで……なんでそんなうわさ信じるのよ…!!」

チカ「ぁあっ…」(ズキッ)

 

 ——めちゃくちゃださかった、あのときのユリ!!友達って感じだったからかばってあげてたけど正直かっこ悪くてずっと笑いそうだった!!どうせミオだって、コイツと同じようなヤツなんでしょほんとは…!!

 ——あのときのことは関係ないでしょ!?

 

チカ「わ……、わたしは…、二人に謝らなきゃ…。わかってるけど……、どうしてもうわさが忘れられなくて…!…あんな他のクラスの友達から聞いた…、そんな適当な話が、わたしは、忘れられなくて…!!———どうしたら、いいの…!!」

 ………、

 

ミオ「だ…大丈夫よ……!」

 

チカ「———!」

 ———、

チカ「——、う………、うわあああぁぁぁぁぁ……」

 

 あああぁぁぁぁぁぁぁ………。

 

 事実無根のうわさから生まれた嫌な事件。うわさが実際本当かどうかは、最後までわからない。そういう不確定なものはときに、事件を生む。うわさに流された代償は、高くつく。

 

 

 一週間後、6月28日(火)、授業中——…。

 

 わいわい…。

 

アン「だからー、こー、きー、くー、くるー、くれー、こよー、と…、どしたの?」

メイ「いや…、チカちゃんたちのこと気になってさ……」

アン「ああ」

 

チカ「……——」

ユリ「……——」

 

 まだ気まずくてペアワークもできないのか…。まったく、うわさなんかに流されるからだよ…。

メイ「なんか…、いっつもなにかあったらアンがなんとかしてくれてたけど…、いざなにもしてくれなくなったら、チカちゃん、ほんとに一人で辛そうだった……」

アン「………、!、ん?」

 

ミオ「もう!二人ともいいかげん、ペアワークぐらいちゃんとしなさいよ!」

 ぐんっ!

チカ、ユリ「!」

 !、ミオさん。

トウカ「もー、いつまで意地張ってんのよ」

ミオ「そうそう!楽しくしましょうよ」

チカ「……」

ユリ「……——!」

 

 さらに一週間、7月5日(火)、始業前——…。

 

チカ「やばい、遅刻遅刻!!っぎゃー!」

 ドカドカドカ!

ユリ「……、だ、大丈夫…?」

ミオ「まだ10分前よ…?」

チカ「だ、大丈夫……(ブイッ)」

 

 さらに二週間、7月19日(火)、休み時間——…。

 

ミオ「テスト何点だった?」

ユリ「あー、うちこんなん」

ミオ「へー、結構高い…」

ユリ「まあ、結構勉強したから。この教科。ま、でも、この教科だったらたしかチカの方が…、」

 

チカ「!?」

 

 ………———、

ユリ「ん?どした?」

メイ「あっ…」

アン「…、やっとか…」

ミオ「?なになに…?」

 

チカ「……ユリ…、呼んだ…」

ユリ「?」

 

チカ「ユリちゃん今あたしの名前呼んだ—————!!『チカ』って言ったよね!?今!!あ——もうよかった!!もうずっと呼んでくれなかったもん!!」

ユリ「ちょ…ちょちょちょっと…、近いよ距離が……、『ユリちゃん』なんていっつも言わないでしょ!」

チカ「ごめ————ん!!うちもう変なうわさ信じたりしないから!!二人とも、ごめん」

 

ユリ、ミオ「!、………、—————、……、いいよ」

チカ「!———」

 

 うわさの真偽は不確定なものだけど、それ以上に人と人との結びつきは先の読めないものだ。今日もまた一つ、嘘みたいなことが起きた。

 

次回お楽しみに

 次回は10月1日(土)更新予定です。

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