ハート探偵の調査日誌

小説です。毎週(土)、(月)の朝4時から7時くらいに更新してます。

調査ファイル⑫「チカ」(事件編)

 1年空組座席表

霧道 文永
(むどう フミ)
菱本 鎌
(ひしもと レン)
気田 広陽
(きだ コウヨウ)
五星 桜
(いつほし サクラ)
澄江 晴香
(すみのえ ハルカ)
 
空見 律花
(そらみ リツカ)
真瀬 亜希
(まなせ アキ)
鋼 勇斗
(はがね ユウト)
球本 鋭
(たまもと エイ)
友寄 励奈
(ともより レイナ)
長谷川 恵美
(はせがわ エミ)
突山 斗希
(つきやま トキ)
宮上 穂花
(みやがみ ホノカ)
羽根元 甲斐
(はねもと カイ)
弦川 鳴
(つるかわ ナル)
望波 美輪
(もなみ ミワ)
転尾 秀
(ころび シュウ)
音雨 京
(おとめ キョウ)
角永 慧
(すみなが ケイ)
添橋 光
(そえはし コウ)
二芽 蒼
(ふため ソウ)
果苗 流那
(かなえ ルナ)
籠 闘条
(かご トウジョウ)
水会 霞
(みずえ カスミ)
一原 未来
(いちはら ミク)
遠道 海斗
(とおみち カイト)
道仲 奏
(みちなか カナデ)
弓川 色翔
(ゆみかわ イロト)
包咲 果瑠
(つつざき ハル)
城翔 璃穏
(じょうしょう リオン)
相原 星
(あいはら セイ)
刻花 党香
(こくばな トウカ)
響 美音
(ひびき ミオ)
砂守 実花
(すなもり ミカ)
一道 心
(かずみち シン)
住伏 暗
(すみふし アン)
櫻花 明
(さくらか メイ)
切本 結理
(きりもと ユリ)
幻中 千華
(まぼなか チカ)
打風 里代
(うちかぜ リヨ)
風岡 舞
(かぜおか マイ)

 

 事件の始まりは、とあるうわさだった。

 

アン「メイちゃん、早く!食堂に行ってチカさんに!!チカさんに話しかけて!!」

 

 押し寄せてくる野次馬。お前ハート探偵だろw?、なんか事件あったのかw?、もしかしてあの3人けんかしたんじゃねえのかw?、えー、マジでーw?うわ、やっぱりなーw?オレ前から仲悪いって思ってたんだよなーw

 

メイ「は…、話しかけるって…、なんて…!」

アン「なんでもいい!今日の天気がいいとか悪いとか…!とにかく、キミがチカさんと一緒にいればいい!この野次馬はオレが処理するから、早く行って!!じゃなきゃチカさん、暴走する!!」

メイ「わ……、わかった…!!」

 

 できることなら、ここで止めたかった。うわさなんてものの重さを甘く見てた。

 

野次馬「あ、待てコラ!」

 

アン「おねがい、間に合って……!!」

 

 そう叫んで、野次馬を振り切って、食堂へ走る。先にメイちゃんが着いてるはず。おねがい、間に合っててよ………。

 

アン「チカさん!」

 

 食堂に入った。すると、

 

チカ「…………は……———、……どういうこと…?」

 

 くっそ…、遅かったか………!

 

 事件はもう起きたんだ。こうなったらもう、うちらがどうこうできる話じゃない。チカさん、ユリさん、ミオさん。この3人の、あとは成り行きを見てるしかない……。

 

 

  〈事件〉

 

 さかのぼること4時間前、2022年6月20日(月)、葉後高校始業前——…。

 

チカ「遅刻だ——————————!!」

 バタバタバタ…、ドガシャ———ン!!

 

みんな「………」

 

チカ「ああー、よかったー、間に合った……。朝ごはん食うの忘れて戻ってたら電車乗り遅れちゃって…。完全に遅刻かと思ったけど…、がんばって走った甲斐があった…!」

ユリ「……、それ(張り紙アタック!)」

チカ「うぶっ!?わぷぷっ、なにこれ…、張り紙?」

ユリ「これ、今月の目標、廊下を走るな、だからっ。廊下は走っちゃいけませんっ」

ミオ「まったく遅刻で急ぐなんてまだまだね。うちは遅刻するってわかってても、走ったりしないよ?素直に遅刻を受け入れるよ」

ユリ「いや、それはそれで問題…」

 

 今入ってきたのは、幻中 千華(まぼなか チカ)さん。まあ、まだ授業始まる10分前だから、全然急ぐ必要なかったんだけどね。で、チカさんとしゃべってるのが、切本 結理(きりもと ユリ)さんと、響 美音(ひびき ミオ)さん。

 

アン「まったく、朝からそそっかしいのね」

メイ「チカちゃん、まだ時間あるよ。そんな急がなくても」

チカ「ああ、住伏くんとメイちゃん…。おはようございます」

ミオ「だいたい、無理に走って間に合ったとこで、どうせ疲れて授業寝るんだから。それだったらのんびり遅刻して、ちゃんと授業受けた方がいいのよ」

メイ、チカ「ああー、わかるわかる!走った後って眠くなるよねー!!」

 …、将来苦労するわよ…。

 この3人、チカさん、ユリさん、ミオさんは、入学して割とすぐから仲のいい感じの…、まあ、仲良しグループっていうのかな。席も前後と左右だから、朝来たらだいたいこの3人は一緒に話してる。ときどきメイちゃんも3人と一緒に話してて、オレもメイちゃんに誘われたらしゃべる。

アン「まったく、毎日しゃべってて、よく話題が尽きないもの…ん?」

 

チカ「……」

 

 ———、?

メイ「!、あれ、どしたの?アン」

アン「え、ああ、いや、今一瞬…、」

 今、一瞬チカさんの目が陰ったのを、オレは見てた。ユリさん、ミオさんとしゃべってる間に、表情が暗くなったのに気づいた。チカさん、なにか悩みでもあるのかな…。

 

 1時間目の後の休み時間——…。

 

アン「うわさ?」

チカ「そう。ユリとミオが、うちのことバカにしてるって……」

 なにか隠してることがあると思ったら、そういうことか。

チカ「6月入ってすぐぐらいかな…。はじめてそのうわさ聞いて、それからずっと……」

アン「馬鹿にしてるって、具体的にはどういう風に?」

チカ「なんか…、二人がうちのこと気に入らなくて……、それで、悪口言って回ってるって…、他のクラスの友達から聞いたんだけど……」

 他のクラスの友達?

アン「そんなの、ほんとかどうかわからないじゃない」

チカ「いや、でも、うちそのクラスの仲いい子から聞いたの!もうそのクラスではそのうわさみんな知ってるって…」

アン「いや、その『みんな知ってる』ってのも嘘かもよ?信ぴょう性は低いと思うわよ」

チカ「でも…。もし、本当にあの二人がそうだったら……」

 ………。

アン「まあ、うわさのことを隠しつつ、キミたち3人のことをクラスのみんなに聞くこともできるけど、そもそもがうわさなんて不確定な話だったら、調査したとこで真実がつかめるかどうか…」

 

メイ「う———ん、それだったら、こんなのはどう?」

 !、?

 

 昼休み——…。

 

 わいわい…。よっしゃ、飯だー!どこで食べるー?

ミカ「弁当も財布も忘れたー!」

リヨ、マイ「あらまぁ……」

 

ユリ「チカー!」

ミオ「食堂行きましょ!」

チカ「ああ、ごめん、うちちょっと用事が…。先行っといて!」(出ていく)

ミオ「行っちゃった…。じゃ、先行っとくか。言われた通り」

ユリ「そだ、チカにおごってもらいましょ笑」

ミオ「あ、いいっすなー!待っとこ待っとこ笑」

 ……、食堂行くのか、あの3人。

 

 わいわい…。

リヨ「ちょっとだけよ?」

ミカ「じゃ、ちょ――っとだけ…」

マイ、リヨ「一口がでかいのよ!」

 

アン「……」

メイ「アン!早く行くよ!調査」

アン「!、ああ」

 

 メイちゃんに提案された調査方法をこの昼休みを使ってやってみることになった。作戦は次の通り。

メイ「いい?うわさは『この人から聞いたんだよ』っていうのをたどっていけば、必ず最初に言い出した人にたどり着けるはずだから。そのいっちばん最初の人に聞けば、うわさが本当かどうかわかるはずよ」

アン「なるほど。たしかに、クラスみんなに聞き込み調査よりは確実な気がする」

 要するに、だれがうわさ撒いたかを、順番にたどっていくわけね。

メイ「たしか、このクラスの子だよね。チカちゃんがうわさ聞いたって言ってたの」

アン「そっ。このクラスの人から聞いたって言ってた。じゃあ、その人がだれから聞いたのかを調べればいいのね」

 考えるより前に、まずやってみよう。

 

うわさ撒いた人「うわさ?ああー聞いた聞いた!それで、チカにも言ったよ?言っといた方がいいと思ったから」

メイ「そのうわさってだれから…、」

アン「待って、その前に。そのうわさのこと、チカさんになんて言って説明したか、覚えてる?オレに説明してくれる?」

うわさ撒いた人「あー……、えっとたしか…、なんて言ったかな…、あ、思い出した。たしか…、」

 チカさんがどんな風にうわさのことを聞いたのか知りたい。どう説明されたかさえわかれば、それでどんな気持ちになったかは、ある程度推測できる。

 ——————。

 

うわさ撒いた人『ねぇ、チカ。もうユリとミオと、付き合わない方がいいよ』

チカ『え、なんで?』

うわさ撒いた人『あの二人、チカの悪口言ってるんだって』

 

 え?

 

チカ『な、なに…?そんなの、だれから聞いたのよw』

うわさ撒いた人『部活の友達からなんだけど、あの二人、かなりひどいらしいよ?その友達が、二人から聞いたんだって』

 

 ——アイツのいいとこは、飯おごってくれるとこしかないよw

 

うわさ撒いた人『って』

 

 ………、え…?

 

チカ『う…、嘘……。嘘だって!そんな……うち、そんなお金持ちってわけでもないし…w、まさかそんなわけ…!』

うわさ撒いた人『じゃあ、今まで飯おごらされたことあった?あの二人に』

 ——…っ、———、

チカ『い……一回だけ…』

 —、—、…——…、

チカ『で、でも……あれはじゃんけんで…』

うわさ撒いた人『でも、勝ったら払うとか、負けたら払うとか、決めてなかったんでしょ?最初からチカに払わせるつもりだったんだよ、ユリとミオは』

チカ『ふ…ふ———……、で…でも…、でも……!!』

うわさ撒いた人『もう関わらない方がいいって、あの二人には。うちはチカのために言ってるんだよ?』

 どうせ今日だってまたおごらされるって…。逆にあの二人が今までおごってくれたことなんてなかったでしょ…?二人はアンタのことを…みんな知ってるんだって…もうかわいそう…。

 ベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラベラ、 チカ『う…う…うぅ……!!、うるさい!!』

 

 そんなわけない…!!

 

アン「——————…」

 

うわさ撒いた人「それで聞く耳持たないから、もう知らないって言って、もうほっとくことにしたよ。こっちはチカのために言ってあげたのに、ひどくない?」

 ……、

アン「…やばい」

 

 ——そだ、チカにおごってもらいましょ笑

 ——あ、いいっすなー!待っとこ待っとこ笑

 

アン「このままじゃ、チカさんがやばい…」

 ——!!

アン「メイちゃん、食堂に行くよ!!」

メイ「え?」

アン「いいから早く!急がないと…、」

野次馬「お前ハート探偵だろw?」「なんか事件あったのかw?」「もしかしてあの3人けんかしたんじゃねえのかw?」「えー、マジでーw?」「うわ、やっぱりなーw?」「オレ前から仲悪いって思ってたんだよなーw」

 !?……、くっそ、こんなときに…!!急がなきゃだってのに…!

 —————……、

 

 事件の始まりは、とあるうわさだった。

 

アン「メイちゃん、早く!食堂に行ってチカさんに!!チカさんに話しかけて!!」

メイ「は…、話しかけるって…、なんて…!」

アン「なんでもいい!今日の天気がいいとか悪いとか…!とにかく、キミがチカさんと一緒にいればいい!この野次馬はオレが処理するから、早く行って!!じゃなきゃチカさん、暴走する!!」

メイ「わ……、わかった…!!」

 

 あの会話内容から推測するに、チカさんは今迷ってる状態。ほんとのことがわからなくて、うわさを信じていいのかいけないのか、わからない。どっちかはっきりさせたいはずだ。そんな中でユリさんとミオさんから、おごれなんて言われたら、即、敵と見なす合図…!その前に3人を止めて、ちゃんと説明しなきゃ……!

 

アン「チカさん!」

 

 食堂に入った。すると、

 

チカ「…………は……———、……どういうこと…?」

ユリ「———、え…?」

ミオ「———…?」

 

チカ「おごれってどういうこと…!?うちのこと、バカにしてたの!?」

 

 くっそ…、遅かったか………!

 

アン「あ……待って。ユリさん、ミオさん。チカさんは…、」

 

チカ「友達が言ってた……。どういうことなの!?おごってくれるとこしかいいとこないって!!そうやってうちをいいように使ってたってこと…!?ねぇ、なんとか言ってよ!!」

 シ―—————ン………。

チカ「なんでなにも言わないの!!教えてよ……ねぇ、教えてって!!ねえ!!…」

ユリ「な……なに…なんのこと……?」

ミオ「どうしたの、チカ…急に」

 

アン「ああ、ごめん、いろいろあって、この人今不安なのよ。だから…、」

チカ「べつにそうやって使われるだけだったら、友達じゃなくていい…。そんな先生に怒られて泣いてるようなヤツと一緒になんて、」

 

 ——!!

アン「うわさが流れた!!ユリさんとミオさんがチカさんの悪口言ってるってうわさが!!チカさんは他のクラスのやつから二人が『アイツのいいとこは、飯おごってくれるとこしかない』って言ってるって聞いた、それで今二人がおごってって言ったんでしょ!?だから、パニクッてんだ!!」

チカ「めちゃくちゃださかった、あのときのユリ!!友達って感じだったからかばってあげてたけど正直かっこ悪くてずっと笑いそうだった!!どうせミオだって、コイツと同じようなヤツなんでしょほんとは…!!」

ユリ「あのときのことは関係ないでしょ!?」

 はっ…、はっ…、はぁ…、

 

ミオ「な…なに…?なんなの…もう……!!——、どうしたのよ二人とも…!」

メイ「っ———……」

 

 止められなかった。けんかはもう、起きてしまった。

 

チカ「……もういいよ」

アン「ぁっ、チカさん、待って…!うわさのことはもう言ったんだから、ちゃんと説明さえすれば…、」

 

チカ「説明なんかしなくていい。うちはもう……、友達じゃない…!!」

 

 !?

 

ミオ「ちょ…チカ!!」

ユリ「…」

アン「馬鹿、しゃれにならないこと言わないで!!」

メイ「———!!」

 

 ガラッ…、

アン「おい、待てって!」

 ピシャン!

 

 ———————。

 …………。

アン「———…、……間に合わなかったか」

 チカさんは、教室を出ていった。とかくこの空間にいたくないんだろう。

 

ミオ「チカ…どうしちゃったのよ……」

ユリ「———………」

 

 これだけ言ってしまったんなら、もう…。

 

メイ「だ、大丈夫、だよね…。荷物置いてってるし、取りに戻ってくるから…」

 ……、

 

アン「オレとキミはもう、チカさんのことはあきらめよう」

 

メイ「ぇ……」

 

 NEXT 調査ファイル⑫「チカ」(解決編)

 

次回お楽しみに

 解決編はこちら→調査ファイル⑫「チカ」(解決編) - ハート探偵の調査日誌 (hatenablog.com)

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