ハート探偵の調査日誌

小説です。毎週(土)、(月)の朝4時から7時くらいに更新してます。

調査ファイル⑪「トウジョウ」(解決編)

前回の話はこちら→https://sumifushiun.hatenablog.com/entry/2022/09/17/052227

〈前回のあらすじ〉

 オレ、住伏 暗(すみふし アン)は、『ハート探偵』と呼ばれるように、クラスのいろんな人の心を解いてきた。しかし、トウジョウくんがうっかり拡散した写真によって、オレの名前と顔がネット中に晒されることに…。

 さらに翌日、トウジョウくんの飲食物を粗末にする投稿が炎上。トウジョウくんはアカウントと今までの投稿を削除するが…。

 

 

 2022年6月17日(金)

 

トウジョウ「——………」

 

メイ「…、なんか元気ないね、籠くん」

アン「まあ、アカウントと投稿を全部削除したし、あと批判のコメントでまいってるのもあるんじゃない?」

 アカウント消してから、ずっとあんな感じでぼーっとしてる。

 

シュウ「大変だよなー、籠くん今」

アン「あ、シュウくん」

 転尾 秀(ころび シュウ)くん。前に課外学習の班で一緒になった知り合い。

アン「そういや、キミもSNSとかネットとか、そういうのくわしいんだっけ」

シュウ「うん。ま、アカウント消しても、やっぱり投稿はもう拡散されてるから、批判は来るよなー…」

アン「まあ、なかったことにはできないからね」

メイ「え、転尾くんもSNSやってるの?」

シュウ「ああ、やってるよ。籠くんのもフォローしてたよ。もうアカウントないけど」

アン「もしかして、クラス内にもトウジョウくんのフォロワーがいっぱいいたとか?」

シュウ「おう、男子たちが何人か。お互いフォローし合ってる感じだけど」

 なんだ、じゃあそいつらは絶対知ってるじゃん。今回の事件。

シュウ「炎上して、アカウント消したのも知ってるけど、みんな気ぃ遣ってそのこと言わんから。辛いよなー、3年とかやってりゃ、そりゃ自分の投稿してきたことにも愛着がわくってもんだろ…」

 それもあるわな、へこんでるの。自分の積んできたものが崩壊したっていうの。これが意外とメンタルにくるんだと思うのね、人によっては。

 

メイ「まあ、うちにはアンがいるから。大丈夫だよ♪」

 ……。

シュウ「信頼されてるな、住伏くん」

アン「いや、信頼って、そんないいもんじゃ…、」

 

トウジョウ「うあああああああああああああああ!!」

 

アン「あっ…!!」

メイ、シュウ「!?」

 ざわっ!!

 

トウジョウ「ぅぐっ……う、うわあああああっ!う、う…うああああああああああ!!」

エイ「お、おい、どうした…籠!?」

トキ「お前…、ここは教室だぞ!心配ねぇって!!」

トウジョウ「や…やめろ!!やめろ!!うあああああ…!!」

エイ、トキ「おい!!聞けって!!」

トウジョウ「ん…!?あぁ……、あれ…」

 ……、止まった…。

トウジョウ「ん…?球本、突山…?」

エイ「はぁ…、収まったか…」

トキ「お前、疲れてんだよ…。ちょっと寝ろ」

 止まったけど、今のはたしかにパニクッてた。あれは…。

 

 昼休み——…。

 

メイ「パニック?」

アン「そう。批判のコメントがい―――っぱい来てるでしょ?それらに神経使いすぎて、周りも見えなくなってる。その証拠に、さっきの見たでしょ?」

 

 ——うあああああああああああああああ!!

 

アン「あの取り乱しようは、普通じゃないよ。相当メンタルに詰めてきてるよ」

メイ「うーん…、でも、どうしようもないよ?わたしたちじゃ…。批判のコメントは止まらないんだから」

アン「……、」

 

 ——炎上して、アカウント消したのも知ってるけど、みんな気ぃ遣ってそのこと言わんから。

 

アン「いや、まだできることはあるかもしれないけど」

メイ「え?」

アン「オレはもう見えてるから。どうすれば彼の悩みを取れるかわかってはいるけど…、まあ、ただ、なんつーか…、ちょっと荒っぽいっていうか。方法が。どうする?やる?」

メイ「やるもなにも…、まずなにするか聞かないと」

アン「ん——、それはね…、」

 

トウジョウ「うあああああああああああ!!」

 

 !!

メイ「あっ、やばい…!」

 くそっ、アイツまた…。

 

トウジョウ「や…、やめろ……!!もうそれ以上…、それ以上言わないでくれぇ!!うあああぁぁぁぁああああ!!」

アン「おい、落ち着けって、トウジョウくん!」

トウジョウ「うるせぇ!!」

 ドン!

アン「うわっ!…このっ、いきなりなにしやがる!」

メイ「ちょ、ちょっとアン!ダメだよ、落ち着いて!」

アン「だ、だって…!」

 

 わーわー!!

シュウ「ん?なにやってんだ、あそこ?あんな大騒ぎして…、ん?籠くんたち?」

 

アン「おのれ、住伏メガキロパ―――ンチ!!」(ゴォォォォォ……、)

メイ「ちょっと、落ち着いてって言ってるでしょ!!」

トウジョウ「っ…!だから、うるせぇっつってんだ…!」

 

シュウ「おーい、籠くんたちー、キミたちなにやってんだ…」

アン「でりゃっ!!」(バゴッ!!)

メイ「ふん!!」(ドスッ!!)

トウジョウ「ろ!!」(スパァン!!)

 

シュウ「ぼべぶっ!!」

 

アン「あ…、あれ……」

メイ「あっ…」

トウジョウ「!、ん?」

シュウ「……」

 

 ………、直撃!

 

シュウ「な、なにやってんの…?」

アン「あ…、ごめん。これはトウジョウくんが……」

メイ「………」

トウジョウ「あれ…、お前ら、なんでここに…」

 

 バキッ!!ドゴッ!!

 

アン「…、なんでうちらだけ殴られなきゃいけないの…」

メイ「だってあたし女子だから♪」

トウジョウ「っていうか、お前らなんでオレの席に?」

アン「ああ、そうそう…、トウジョウくん…?」

 本題忘れてた…。ここまでのパニックだったら、もう早いとこ行動しなきゃ。

 

アン「キミさ、なにを恐れてるの?」

トウジョウ「え……」

 ………、

アン「いや、今だって、めちゃくちゃパニクッてたからさ。なにか恐れてることがあるんでしょ?」

メイ「…、アン…?」

トウジョウ「い、いや…w、べつに…、なにも……」

アン「ふーん、じゃあさ、」

 パシッ。

 

アン「みんな——!これ見て——!これ注目——!」

 

 !!

トウジョウ「そ…!それは……、オレの携帯…!やめろ……!!」

アン「ほら、みんなこの携帯見て!ほら、もっと近くで!」

 な、なんだ?なにあれ…?

 

トウジョウ「てめぇ…!!」

 ガッ!

アン「——、これでしょ?キミが一番恐れてること。それはSNSで飛んでくる批判のコメントじゃない。ほんとに恐れてるのは、今後ろで見てるこの人たちだ」

トウジョウ「っ、………!!」

アン「ちなみに、今みんなに見せてたのは、画面をオフにした真っ黒の携帯。まあでも、オレが見せなくても、知ってる人はいるだろ。キミは男子たちとSNSをフォローし合ってたみたいだから。そういうヤツらが今回のこと、裏でなんて言ってるか。それが怖いんでしょ?」

 シュウくんが、今回の事件について、みんな彼になにも聞いてないって言ってた。だから、トウジョウくんはみんなの反応がわからない。わからないことは恐怖。クラスのヤツらが自分の悪口言ってるのが容易に想像つくよね。

 

 男子『アイツ、アカウント消しやがったよwあれぐらいで、ビビりだよなーw』

 女子『もっと上手いことやれってんのよwだっさぁいw』

 

アン「そろそろはっきりさせようよ。このクラスのヤツらは、味方か敵か」

トウジョウ「……!ふ———…!!ふ———…!!………、」

 ……、

 

トウジョウ「……お前らは…オレの味方か…?それか…、敵か?」

 ?

トキ「……?」

エイ「———…、」

トウジョウ「——!!はっきりしてくれよ!お前ら、ほんとは裏でオレのこと笑ってたんじゃないのか…!!『籠のヤツ、あんな投稿して炎上してアカウント消して逃亡なんて、マジだっせぇよなーw』とか思ってるんじゃねぇのか!?ほんとのとこはどうなんだよ!!」

 —————、………。

 

エイ「…いや…、笑うわけねぇだろ!!」

 

トウジョウ「———!?」

エイ「籠!オレは笑わねぇぞ!!そんなこと!!」

トウジョウ「———っ!」

トキ「そうだなー。別にどうでもいいんだよ、そんなこと。オレらには関係ないっ」

トウジョウ「!、———」

 

シュウ「籠くん、もう一回出直そうぜ」

トウジョウ「!」

シュウ「しばらく休んでみて、もしあれだったら、また始めてみようよ。新しいアカウント作って、名前も変えていいからさ」

トウジョウ「…、シュウ」

エイ「いいネタなら、オレが教えてあげるからねー!(ビシッ)」

トキ「おい、球本調子乗りすぎだぞー」

 わいわい!

 

トウジョウ「……、ありがとう…!!」

 

 今回も、また一つ隠れてた真実が出た。SNSのことなんて、クラスには関係ないってこと。

アン「にしても、今回は散々だった…。SNSにはオレの写真が拡散されるわ、シュウくんには殴られるわで…」

 そうそう、拡散されたんだよなー、オレの写真。あの『#お悩み相談はハート探偵、住伏 暗まで!』ってタグで。で、バズッちゃったし、それ。ネット中にオレのことが広まっちゃった…。なんか面倒なことにならなきゃいいけど…。

メイ「でも、今回の事件を踏まえて、これからどうするかが大事だよ。これからどうする?」

アン「あー、そうね、まあ…、出された食い物はできるだけ食べよう」

 ………。

アン「ん、なに?」

 

メイ「ぷぷっ、解決して言うことがそれ?笑」

アン「な、なに、ダメなの…!?」

 ハハハ…!

 

次回お楽しみに

 次回は9月24日(土)更新予定です。

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