ハート探偵の調査日誌

小説です。毎週(土)、(月)の朝4時から7時くらいに更新してます。

調査ファイル⑧「リヨ」(事件編)

 1年空組座席表

霧道 文永
(むどう フミ)
菱本 鎌
(ひしもと レン)
気田 広陽
(きだ コウヨウ)
五星 桜
(いつほし サクラ)
澄江 晴香
(すみのえ ハルカ)
 
空見 律花
(そらみ リツカ)
真瀬 亜希
(まなせ アキ)
鋼 勇斗
(はがね ユウト)
球本 鋭
(たまもと エイ)
友寄 励奈
(ともより レイナ)
長谷川 恵美
(はせがわ エミ)
突山 斗希
(つきやま トキ)
宮上 穂花
(みやがみ ホノカ)
羽根元 甲斐
(はねもと カイ)
弦川 鳴
(つるかわ ナル)
望波 美輪
(もなみ ミワ)
転尾 秀
(ころび シュウ)
音雨 京
(おとめ キョウ)
角永 慧
(すみなが ケイ)
添橋 光
(そえはし コウ)
二芽 蒼
(ふため ソウ)
果苗 流那
(かなえ ルナ)
籠 闘条
(かご トウジョウ)
水会 霞
(みずえ カスミ)
一原 未来
(いちはら ミク)
遠道 海斗
(とおみち カイト)
道仲 奏
(みちなか カナデ)
弓川 色翔
(ゆみかわ イロト)
包咲 果瑠
(つつざき ハル)
城翔 璃穏
(じょうしょう リオン)
相原 星
(あいはら セイ)
刻花 党香
(こくばな トウカ)
響 美音
(ひびき ミオ)
砂守 実花
(すなもり ミカ)
一道 心
(かずみち シン)
住伏 暗
(すみふし アン)
櫻花 明
(さくらか メイ)
切本 結理
(きりもと ユリ)
幻中 千華
(まぼなか チカ)
打風 里代
(うちかぜ リヨ)
風岡 舞
(かぜおか マイ)

 

 2022年6月9日(木)

 

ミカ「でーきたぁ——!!」

 

 ………。なんかはしゃいでる人が一人。

エミ「わ、すっごーい!!」

レイナ「これミカちゃんが描いたの!?すごい!!」

ミカ「でしょ、でしょ!?」

 わいわい…。

 

アン「なんか、女子の人たちがはしゃいでるね。いいことでもあったのかな」

リオン「なんか、黒板アートっての、描いたらしいよ」

 黒板アート?

アン「なにそれ?」

シュウ「黒板に描くアートのことっ。黒板にチョークで絵を描くんだ」

セイ「なんか、テレビとかでよう見るけど」

キョウ「明日は体育祭だから。こういう行事前にはよくやるんだよ」

アン「へ——…」

 そういや明日体育祭だったな。そっか、行事前だから、こういうのでテンション上げてこうってことか。

アン「けど、前日からわざわざお絵描きなんて、気が早いんじゃないの?あの…えっと……だれだっけ…」

 

ミカ「ちょっとっ。だれってないと思うんですけどっ」

 !、うおっ…、

メイ「アン、この子は砂守 実花(すなもり ミカ)ちゃんだよ。何回も話してるんだから、そろそろ覚えてあげなよ」

アン「あ、メイちゃん。相変わらず名前覚えるの早いね」

メイ「いや、キミが遅すぎるんだよ…」

アン「………あ、そっか」

みんな「だあっ…」

ミカ「とにかく、あの黒板アートをよーく見て、住伏くん。キミにもあの絵の素晴らしさがわかるはずだから(はぁと)」

 ……、

アン「な、なんかめんどくさそうだな…」

ミカ「ちょっと——!!」

エミ、レイナ「あー、やっぱ合わないよねー、この子とは……(汗)」

 わいわい…。

 

アン「なーんかめんどくさそうな人ね。テンション高いし」

シュウ「まあ、砂守さんはいっつもあの調子だからなw、みんな慣れてら」

キョウ「うんうん。ああいう人だから」

 へー…。面倒な人と会っちゃったなー…。

メイ「でも、いい子だよ!ミカちゃん。それにあの黒板アートもすごいと思うし」

アン「すごいっていうか、大変そう。クラス全員のイラスト描いてるんだもん」

メイ「そうそう!ちゃんとアンも描いてくれてるよ。いっつもスミっこで一人ぼっちって言ってるけど、よかったね♪」

アン「いや、ほっとけ…」

 

  〈事件〉

 

 1時間目の後の休み時間——…。

 

メイ「数Aのノート?」

アン「うん。今の授業寝ちゃってさ、見して」

メイ「もー…、昨日は何時に寝たの?」

アン「えっとたしかー、3時ぐらいかな。そんで6時に起きたから…」

メイ「もー、3時間しか寝てないじゃん。もっと早く寝ないとダメだよ…」

アン「だって今までの事件のファイルを復習してたんだもん」

 まあ、その後漫画読んでたけど。っていうかいつもは12時ぐらいには寝るんだけどな。

メイ「はい、これ。次からはちゃんと自分で書いてよ」

アン「へーい。えっと、寝てたとこは……、ん?」

 あれは…、

メイ「ん、なに?どしたの?」

 ……、…。

メイ「あ、ちょっと、どこ行くの?アン?ノートは?」

 あそこの席でおろおろしてるあの人。なんか様子が変だ。

 

アン「ねぇ、キミ、なにしてるの?」

リヨ「え、うわっ!ちょ、ちょっと…!!……なんにもないけど…?」

 ………、

アン「その手に持ってるキーホルダー、どしたの?壊れてるけど」

リヨ「うわ…、気付かれた……」

 この人が持ってるキーホルダー。布でできてるみたいだけど、布が破けて壊れちゃってる。

アン「っていうかキミ、名前は?うちのクラスの人?」

メイ「ちょっとどしたのよ、アン…、あら…、どしたのそれ…。キーホルダー?壊れちゃってるけど……」

リヨ「うぅ…」

アン「ね、メイちゃん。この人、どなた?」

メイ「えっと、この子は打風 里代(うちかぜ リヨ)ちゃん。それで…、どしたの?リヨちゃん」

リヨ「あ、いや…これはね……その…、なんというかね…」

 あれ、そういえば…、

アン「あれ、キミの席って、あのパリピちゃんの隣の席じゃないの」

リヨ「ぎくっ!やば…!」

 ——キミにもあの絵の素晴らしさがわかるはずだから(はぁと)

 さっきのパリピちゃん…、ミカさんだっけ?このリヨさんって人と席が隣。じゃあ、このリヨさんの持ってる壊れたキーホルダーって…、

アン「もしかして、あのパリピちゃんのキーホルダーとか?」

リヨ「ドッキリ…あ、いやー、そんなわけないじゃないwまさかそんなこと…」

アン「だよねー、まさかそんなことあるわけないかーw」

リヨ「そうそう!まさか偶然キーホルダーがミカのかばんから取れて落ちてて、それを踏んじゃって、そのときに生地が引っかかって壊れちゃったなんてこと……」

 ………。

リヨ「あっ…」

 ガビーン…。

アン「言ってんじゃないの…」

メイ「ど、どうするの…?」

アン「彼女、今は席外してるみたいだけど、戻ってきたらバレるわよ」

リヨ「え…ああー……、まあ、大丈夫じゃない?謝れば笑」

 ………。

 

マイ「リヨー、次、移動教室だよー」

ミカ「行きましょー」

 あ、さっきのパリピちゃん。と…、

アン「だれ?」

メイ「風岡 舞(かぜおか マイ)ちゃんだよ。この3人仲いいの」

アン「へー…」

ミカ「あら、メイちゃん。それに、ハート探偵くんじゃない」

マイ「どしたの?もしかして、リヨがなんか事件でも起こしたとか?笑」

アン「あー、なんかそうみたいだよ?」

ミカ、マイ「え?」

 

リヨ「あのさ、ミカ?アンタがいっつもかばんに付けてるキーホルダー?壊しちゃって…笑」

ミカ「え?、———」

 ……。

リヨ「なんか、かばんから外れて床に落ちてたの踏んじゃって、こんなんなっちゃったんだけど…、ごめん気づかなくてさ笑」

 —————。

ミカ「………あー…、そう」

リヨ「そうそう、これ……」

 布が引っ張られて大きく傷の入っちゃってるキーホルダー。それを手に渡されて、見つめるミカさんの目は…、

ミカ「………」

 自分の机から移動教室の荷物を取り出す。

リヨ「?、ミカ?」

 

ミカ「———、ごめん、うち先行ってるわ」

 荷物を持って出てった。

 

リヨ「!?、!?……!!…、マイ…、」

マイ「あ、ごめん、うちも先行く…」

リヨ「ちょ…、」

 ………。

 

リヨ「……、なんで…?」

アン「なんでって、わかってるでしょ?さっきのキミの態度」

 ——まあ、大丈夫じゃない?謝れば笑

 ——なんか、かばんから外れて床に落ちてたの踏んじゃって、こんなんなっちゃったんだけど…、ごめん気づかなくてさ笑

アン「笑ってたでしょ?あれは、明らか反省してない態度。自分のやらかしたことに、向き合う気持ちが一切なかったよ」

リヨ「?…!?」

 キーンコーンカーンコーン…、

アン「そういうのを繰り返して、真実をなあなあにしてると、人は孤立するってわけ」

 キーンコーンカーンコーン………。

 みんな移動教室に行って、教室はほぼ空っぽ。うちらだけ。

アン「さあ、みんな行っちゃったよ。キミはどうする?」

リヨ「そ…、そんなの知らないから!先行けば!?授業始まってんだから」

アン「じゃあ、キミは行かないの?授業」

リヨ「うっ…、もう、放っといて!!」

メイ「り、リヨちゃん…、」

リヨ「うるさい!!」

メイ「あ………、」

 ………、

アン「なにしてんの?行くよ」

メイ「——…、———」

 ガラガラ…、ピシャッ。

 

 ………。

アン「……、やばいな」

 教室から泣き声がする。ドアの裏から、隠れて聞き耳立てといて正解だったな。

メイ「リヨちゃん…、泣いてるの?」

アン「みたいね。これじゃ、明日が心配かな」

メイ「え、明日って…、」

アン「明日は体育祭でしょ。一人で教室に残されて泣いてるような状態で、明日来れるかわからない。もし、逃げて休んだとしたら、結構なトラウマになるかもね」

メイ「それって、ミカちゃんと一緒にいるのが気まずいから、休むってこと…?」

アン「そう。んー、とりあえず、ミカさんと、リヨさんと、マイさんの3人のこと、クラスのみんなに聞いてみよう。もちろん今回の事件のことは言わずに。今日の昼休みには全員から聞いて、情報まとめましょ」

 明日の体育祭に間に合わせたいわけじゃないけど、あの3人のことは気になる。ここは、黙ってられない。調べよ。

 

  〈調査〉

 

  昼休み——…。

 

アン「弱ったねぇ。クラスのみんなに話聞いて、得られた情報は3人が仲いいよってことぐらい。これだけじゃ、いくらオレでもなんにもわかんないべよ…」

メイ「それに、リヨちゃんもずっとあんな感じだし…、このままじゃ、明日の体育祭までに解決するのは無理だよ」

アン「リヨさんがミカさんにどう思ってるかは、だいたいわかる。けど、ミカさんはキーホルダー壊したリヨさんに対して、どう思ってんだろ」

 そう、そこがわからない。ミカさんはすでにリヨさんを見限ったのか、それともまだ想ってるのか。お気に入りのキーホルダー壊された上に、あんな態度まで取られたら、キレるのは当たり前だけど、じゃ、例えば、もう一回本気でリヨさんが反省したうえで謝ったら、どうなるんだろ…。って、本気で謝ってもないのに、そんなこと考えるのはちがうか…。落ち着いて考えな、あのパリピちゃんは、リヨさんのことなんて思ってるか…。

メイ「まあ、わたしだったら、怒るけど…笑」

アン「本音を決めるのは、キミじゃなくてあのパリピちゃんよ」

メイ「今回は、本人に話聞かないの?ミカちゃんの気持ちが気になるんだったら、ミカちゃんに聞いてみたら……」

アン「えー、でも、キーホルダー壊されて結構へこんでなかった?そんな簡単に聞いていいもんなのかね?」

 できるだけ早く真実をつかみたい気持ちはあるけど、本人の気持ちに関しては、慎重に考えたいとこなのよね。

メイ「じゃあ、マイちゃんに…」

アン「マイさんには最初に聞いた。それに、そのときに…、」

 

マイ「あのさ、住伏くん…?」

 !

マイ「………」

 

 マイさん?いきなり何の用だろ?

 

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