調査ファイル⑤「アキ」(解決編)

事件編はこちら→

https://sumifushiun.hatenablog.com/entry/2022/08/06/000310

〈前回のあらすじ〉

 課外学習で口の悪いアキさんと会ったキョウ。昼ご飯の後、アキさんが他所の学校の生徒と事件になってるのをうちらは発見。

 

アン「それじゃあ、推理を始めますか!」

 

 2022年5月2日(月)

 

アン「アンタらは、うっかりアキさんに水をぶっかけてしまい、謝ってるのにアキさんが許してくれず、いくらなんでも責めすぎだって言いたいんだよな?」

男1、2「そうだそうだ!!」

アン「それはちがうな。アンタらは、そこにある鉄のバケツを使って、わざとアキさんに水をぶっかけた」

男1「な…てめぇ何を…!!」

男2「なんでそんなこと言えるんだよ!!」

アン「いや、なんでって…、もしわざとじゃないっていうんならさぁ、」

 

レイナ「あれ…、そういえば、アキちゃん、ずぶ濡れじゃん!」

エミ「あ…、ほんとだ!」

アキ「え…ああ、そういや…」

レイナ「ちょ、早く、これ(タオル)で拭いて!風邪引いちゃう!」

女子「早く早く!」

 ↑

アン「水がかかった瞬間に、こうすると思うんだけど?」

 !!

男1、2「!!、ギクゥ!!」

アン「そう。わざとじゃない、悪いと思ってるなら、相手を心配して状況を改善しようとするのが普通。でも、アキさんはずぶ濡れのまま。タオルか何かで拭いた様子もない。つまりアンタらは、うちらがここに来るまで、アキさんをずぶ濡れ状態のままにしてた。これが反省してる人間の行動とは思えないんだけどなー…」

みんな「!、そうだ!」

男1、2「う、うるせぇ!!それだけでオレたちを疑ってんのか!!」

アン「証拠はそれだけじゃないよ。そこに、鉄のバケツがあるよね。これでアキさんに水をかけてしまったようだけど」

男1「そ、そうだけど…、だからなんなんだよ!」

男2「こっちは謝ってんのに、しつけぇんだよ!!」

 ———……。

アン「それじゃあ、実際に試してみようか」

男1、2「な…、試す?」

 

 5分後——…。

 

アン「よっとっ」

 用意したのは、例のバケツに水がほぼ満杯に入ったもの。これは男二人とアキさんの証言をもとに、事件のときと同じ状態にしてある。

アン「今から、アンタらの証言をもとに事件のときと同じ状態にしたバケツで、事件の再現をしてもらう。オレがアキさんの役をするから、アンタらはオレをアキさんと思って、どういう風に水がかかったのかやってみせてよ。もちろん、頭から思いっきりぶっかけてくれて構わないよ?」

メイ「ちょ、ちょっと、大丈夫なの、アン…」

アキ「おいおい、お前までそんなこと……」

アン「まあ、見てなって」

 事件の真相を示すには、事件の再現をしてみるのが一番だから。

男1「い、いいぜ…」

男2「それで納得してもらえるんなら、やってやるよ…」

 ———……。

男1「準備できたぞ…」

男2「こんなことして、何になるんだよ…」

 よし、それじゃ、再現開始。

アン「じゃあ、そっちの人(男1)がバケツを持って歩いてきて…、はい、近づいてきた。ここでオレ(アキさん役)に水がぶっかかる。さ、どうぞ?」

 

 ………。

 

男1「うんぐぐぐぐぐ…!んぎいいい…!!」

男子「あ、あれ…?バケツが…、」 女子「持ち上がらない…?」

アン「あれ、どうしたんだよー。無実を証明したいんじゃないの?」

男1「だから…、ちゃんと持ち上げてるって…!」

アン「ちょっと、ちゃんとやってよー。真面目に再現しないんなら、わざとってことにしちゃうよ?」

男1「う……うるせぇってんだあああ!!」

 バシャアアアアアン!!

レイナ「す、住伏くん!」

 

 ………。

男1「はぁ…はぁ…、ふざけやがって……」

男2「なんのつもりだよ…」

アン「こんなのうっかりでできることじゃないよな?」

男1、2「あっ…!」

 ざわっ…。

男1、2「し…、しまった…!!」

アン「このバケツは鉄でできてる。ただでさえ重いのに、それにほぼ満杯に水を入れた場合、相当な重さになる。それをアキさんの頭の上からぶっかけるなんて、ちゃーんと足腰に力を入れないと不可能。つまり、わざとじゃないとできるわけないってわけ、これは」

男1、2「あ…あ……」

アン「おそらくアンタらは、まずバケツに水を満杯にし、それを偶然通りがかったアキさんにぶっかけた。そしたら口の悪いアキさんはブチギレてきたもんだから、もうひといたずらしてやろうと思って、泣きわめくふりをして人を集めた。仕上げに先生に泣きつけば、当然先生は知り合いの自分たちに味方するから、アキさんが悪いって空気を作ることができる。わざとじゃない、謝ってるのに、許さないアキさんはひどいってね。さあ、ここまでやれば、十分かな?謝ってもらおうかな」

アキ「———っ」

男1、2「ぐ…、ぐぅぅ……。知るか、バーカ!!」

 ダッ!!

男たちの先生「あっ、待ちなさい!」

ミワ「あ、逃げた…!!」

シュウ「追え!」

アン「いや、追う必要はないよ」

シュウ「え…」

男1、2「ハハハ!バァーカ!!」

 ダダダダダ…!!

レイナ「あ、あー、逃げられた…」

ミワ「なんで止めるのさ、住伏くん!」

アン「追わなくたって、向こうの先生が見てたんだし、後でこっぴどく怒られるわよ」

シュウ「で、でも…、」

アン「それより、気になるのは…、」

 ———…、

キョウ「もう大丈夫ですか?水、乾いたかな?」

アキ「ああ、タオル貸してもらったから。一応拭いたんで、大丈夫かと」

キョウ「ふーん、それはよかった…」

アキ「あの、さっきはすみませんでした…」

キョウ「!」

アキ「なんか…、ちょっと言いすぎました…。助けていただいてありがとうございます」

キョウ「ああ、気にしなさんな。こういうのはお互いさまだから」

アキ「ああ、そう…?……」

 

エミ「なぁーに強がってんのよアキちゃん、ほんとは怖かったくせに!」

アキ「ぐっ…!」

ミワ「ほんと、こういうときぐらい素直になりなさいよ!」

レイナ「そうそう!」

アキ「う、うるせー!んなわけ…」

アン「知らん男たちから水ぶっかけられて、それで自分のせいにまでされたら、だれでも怖いはずよ?」

アキ「はぁ!?だ、だれが怖いとか…、そんなわけ……、」

エミ「いや、泣きそうじゃないの!」

アキ「はぁ!?んなわけないでしょ!?泣いてねぇって!」

エミ「いや、泣いてるし!」

アキ「いや、泣いてねぇし!」

 わいわい…。

 

 ♥→♡

アン「ふーっ、こっちの真実も、つかめたみたいね」

メイ「よかったね♪あの二人仲直りできて」

アン「仲直り?ああー、まあ、そっかな…」

 そもそもけんかしてないと思うけど…、ま、いっか。

アン「しっかし、あんなに素直な人とは思ってなかったわよ、アキさん。まあ、正直ってことはああなるか」

メイ「まあ、口は悪いけど…、ほんとはね♫」

 まあ、メイちゃんなら気付いてたんじゃ…、とは思うけど。周りの評判が悪いヤツにも、おかまいなしに突っ込んでく人だから。

 

キョウ「ありがと、住伏くん。おかげで助かったよ」

 うわ、超まじめなお礼。逆に気が引けちゃう。

キョウ「キミのおかげで、真瀬さんを助けられた」

アン「いやぁ、キミこそ、ずいぶんといいこと言ってたじゃない」

 ——たしかに、真瀬さんは、口は悪いけど…、でも…、正直な人だから!ほんとのことをちゃんと言う人だから!

アン「あの土壇場で、よう思いついたね、あんなセリフ」

キョウ「いや…、だって、あそこは……、言うしかなかったよ笑」

メイ「うん!よかったよ、あれ♪」

キョウ「——、…うん」

 まあ、人の心は奥が深いってね。

 

アン「さーてと、またどっかに面白い事件ないかなー?」