1年空組座席表
霧道 文永 (むどう フミ) |
菱本 鎌 (ひしもと レン) |
気田 広陽 (きだ コウヨウ) |
五星 桜 (いつほし サクラ) |
澄江 晴香 (すみのえ ハルカ) |
|
空見 律花 (そらみ リツカ) |
真瀬 亜希 (まなせ アキ) |
鋼 勇斗 (はがね ユウト) |
球本 鋭 (たまもと エイ) |
友寄 励奈 (ともより レイナ) |
長谷川 恵美 (はせがわ エミ) |
突山 斗希 (つきやま トキ) |
宮上 穂花 (みやがみ ホノカ) |
羽根元 甲斐 (はねもと カイ) |
弦川 鳴 (つるかわ ナル) |
望波 美輪 (もなみ ミワ) |
転尾 秀 (ころび シュウ) |
音雨 京 (おとめ キョウ) |
角永 慧 (すみなが ケイ) |
添橋 光 (そえはし コウ) |
二芽 蒼 (ふため ソウ) |
果苗 流那 (かなえ ルナ) |
籠 闘条 (かご トウジョウ) |
水会 霞 (みずえ カスミ) |
一原 未来 (いちはら ミク) |
遠道 海斗 (とおみち カイト) |
道仲 奏 (みちなか カナデ) |
弓川 色翔 (ゆみかわ イロト) |
包咲 果瑠 (つつざき ハル) |
城翔 璃穏 (じょうしょう リオン) |
相原 星 (あいはら セイ) |
刻花 党香 (こくばな トウカ) |
響 美音 (ひびき ミオ) |
砂守 実花 (すなもり ミカ) |
一道 心 (かずみち シン) |
住伏 暗 (すみふし アン) |
櫻花 明 (さくらか メイ) |
切本 結理 (きりもと ユリ) |
幻中 千華 (まぼなか チカ) |
打風 里代 (うちかぜ リヨ) |
風岡 舞 (かぜおか マイ) |
課外学習U班、班員表
レイナ | セイ | キョウ | シュウ |
エミ | ルナ | ミワ | アン |
2022年5月2日(月)
オレ、住伏 暗(すみふし アン)。スミに突っ伏してる暗いヤツって書いて、住伏 暗(すみふし アン)。葉後高校(はあとこうこう)の1年空組に通ってます。今日は課外学習ということで、クラスで葉後山に。
アン「まったく、こんな山道をさ、長々と歩かせてさ、いったいどういうつもりなのか学校は。こんな運動音痴に山登りとは」
メイ「あれ、運動苦手なの、アンって。なんかできそうな感じだけど…。ほら、さっきだってさ…、」
アン「ああ、ローラースケートの腕前はプロ以上だけど、それ以外は全然。使う筋肉がちがうから」
今日はここに来るまでにもいろいろあったから、まあ、くわしいことは4話を読んでくれたら…。
アン「体育のテストも軒並み最低ランクだけど、キミももしかしてそんな感じ?」
メイ「あー、ま、得意ではないかなぁ…」
アン「じゃ、大変なんじゃないの?体育の授業とか、できないと馬鹿にされるでしょ」
メイ「えー、いやー、べつにそんなことないけど?」
アン「あー、まあ、キミみたいな明るーい系の人は馬鹿にはされないかぁ…」
メイ「あ、今バカにしたでしょ…」
アン「いやいや、そんなことないわよー」
ちなみに今日の課外学習の予定は、
①山登る
②飯食う
③帰る
こんだけ。山登って、飯食って、帰る。だけよ。一日中かけて飯食って帰るだけって、コスパの悪い時間の使い方ですな…。
で、今①で山を登ってるとこなんだけど…、
アキ「うるせぇ、駄目男」
ん?
ざわざわ…。なになに…?なんかやばそう…。
なんだ、今の声?
アン「なになに、外来てまで事件起きるの?えっと、あれって、キョウくんと…、だれだっけ、あれ…」
メイ「真瀬 亜希(まなせ アキ)ちゃん!どしたんだろ。なんかやばそうな空気してるけど…」
キョウくんがアキさん?からなんか言われてるみたいだね。音雨 京(おとめ キョウ)くんは前の事件で面識あるけど、アキさんの方はあんまり知らない。事件の調査のときに全員に話聞くから、何回も話してるとは思うけど。
アキ「つーかキミ前にクラスの男子にちょっかいかけてブチギレられてたろ。よう何食わぬ顔でここにいられるな。ちったぁ反省したらどう?」
キョウ「…!、………、」
うわー、口わるー。あんなこと言うんだ…。
セイ「出たな、口わるの真瀬さん…」
アン「!、口わるの?」
シュウ「そう呼ばれてるんだよ。口悪いから、あの人。オレもああいう風にボロクソに言われたことあるよ」
アン「へー…」
口わるかー…。割といろんな人に対してそうみたいだね。
アキ「わかったら金輪際話しかけてくるんじゃねぇぞ、駄目男」
アン「ねぇ」
アキ「!」
アン「キミ、正直だね?」
メイ「ちょ、ちょっと、アン…」
アキ「え、だってキミだっていっつもほんとのこと言えみたいなこと言ってるでしょ。ハート探偵とか言って。ほんとのことしか言ってないんだから、文句はないでしょ?」
そこまで言ったら、先に歩いてった。
アン「……、」
ざわざわ…。
メイ「だ、大丈夫?キョウくん。めちゃくちゃに言われてたけど…」
キョウ「あ、ああ。まあ、言われただけだから…」
アン「っていうか、なにやらかしたのよ、キョウくん。あんなキレられるって」
キョウ「いや、オレは普通に話しかけただけさ…。そしたら…」
セイ「お前、オレのときみたいに、変なちょっかい出してキレられたんじゃねぇだろうな…?」
キョウ「そんなことしないよ、もう。変に気ぃ使ったりもしてないし…」
さっきアキさんにも言われてたけど、キョウくんは前にセイくんにちょっかい出して怒られててね。やったことは、セイくんにただ話しかけたってことだけ。でも、セイくんをぼっち扱いして話しかけてたのがバレて、キレられてたのよ。
まあ、なんの間違いか今回の課外学習、二人は同じ班になっちゃったみたいだけど。
セイ「ほんとかぁ?なんか余計なこと考えてたんじゃねー?」
アン「ままま、やめときな、セイくん。コイツは二回も同じこと繰り返すアホには見えないし。余計な計算とかなしに、普通に話しかけただけなんでしょ?」
前はどこかうさんくさい感じがしてたから、彼のやらかしに気づいたけど、今回はそういうのは感じない。オレのアンテナが反応してないってことは、おそらくキョウくんは白。まあ、ただの勘だけどね。
キョウ「ただ、みんな言うように、前にやらかしてるからさ…。なんか…、また自分があの人を傷つけてるんじゃないかって思って…、怖いんだよね…。今回は悪意とかなく、普通に話しかけただけのつもりなんだけど……、なんか、それすら罪な気がして…」
………。
アン「ま、大丈夫じゃね?あんな威勢よく言い返してるってことは」
メイ「うん!そんな気にしてないと思うよ」
キョウ「———、…うん」
しっかし、キョウくんも大変だよなー。みんなあの事件のイメージ持ってるから、すぐそれを弱みにされる。そこでグレたりせずに普通に生活続けてるってのは、実は結構大変。
キョウ「いや、キミが学級会なんか開いてみんなの前で言ったからなんだけど…」
アン「あー、それはクラスみんなに真実つかんでもらうためだから、しょーがない」
メイ「あ、もうすぐ頂上だよ!」
ん?
シュウ「あ、ほんとだ」
レイナ「やっとご飯食えるよ、これで。ほんと、歩かせすぎ…」
たしか、頂上には展望台があるみたいだけど…。
メイ「着いた!展望台!」
アン「おー、」
高い。でもって広い。そんで緑。
メイ「絶景でございます!」
けど、そんなはしゃぐほどかな…。ま、いいか。
メイ「うわー、高ーい!広ーい!」
エミ「ほんとに登ってきたんですなー、こんな高いとこまで」
ルナ「そりゃ疲れるわけだ…」
よーし、それじゃ…、
アン「櫻花さん、写真撮るよー!」
メイ「え?」
アン「ほら、笑って笑ってー!」
メイ「え、えぇー、えぇと……、はい!」
パシャッ。
メイ「どうかな…?」
アン「えーっと…、あ、ごめん、インカメだった」
メイ「っもう!!」
みんな「もー、またやってる…」
メイ「絶対わざとでしょ!」
アン「だーから、悪かったってばー!」
いっつも散々バカにしてきてるんだから、たまにはお返ししないとね?
昼飯の後——…。
シュウ「はぁー、満腹満腹…」
エミ「結構いっぱい食べましたな…」
昼飯は班ごとに食べた(オレはU班)。ほんと、こんなことするためだけにここまで登ってきたのかって感じ…。
ミワ「そーだ、写真撮ろ」
レイナ「あ、そだね」
アン「写真?」
ミワ「うん。班で撮ろ」
班でってことは、このメンツで撮るのかな。はて、なんでだろ?
アン「あ、じゃあ、オレ撮るよ。写りたくないから」
ミワ「あー、そうなんだ…」
アン「うん。撮って…、個人個人にメールで送ったらいい?」
レイナ「あ、じゃ、おねがい」
シュウ「徹底してるなぁ、住伏くんは…」
こういうの外れたら気ぃ悪いとは思うんだけど…、まあ許してくだされ。
アン「じゃ、撮るよー」
ミワ、レイナ「さっきみたいにインカメにしないでよ?」
アン「わかってるって。じゃ、3、2、1、…」
男「うわ———ん!!」
!
シュウ「な、なんだなんだ?」
エミ「なんか叫び声が…」
なんだか、知らない男の叫び声が聞こえたけど、なんか事件でも起きたのかな?
キョウ「あそこの広場でなにか起きてるみたいだけど…」
アン「どれどれ…、ちょっと見にいってみよ」
レイナ「ちょっと…、住伏くん、写真は!?……もう…、すぐ食いつくんだから、ああいうの」
現場に来ると…、
男1「うわ———ん!!」
男2「うわ———ん!!」
知らん男が二人、泣き叫んでる。年は、うちらと同じくらいだから…、他の学校の生徒たちかな。けど、どういう状況なのこれ…。
アン「ね、キミ。これ今、どういう状況?」
メイ「ああ、アン。それが、アキちゃんが……」
アン「?、アキさんが、どうかしたの?」
男1、2「うわ———ん!!ひどいよ———!!そこの人がぼくたちを責めてるんだよ———!!」
!、そこの人って、アキさんのこと…?……でも、なんか、ずぶ濡れになってんだけど。
アキ「………、…なんで……!なんでだよ…!!」
〈事件〉
頭から水かぶって、ずぶ濡れになったアキさん。いったいどういう状況なんだろ、これ…。なんか他所の学校の生徒っぽい男が二人、泣きわめいてるけど…。
ざわざわ…。なになに…?なんの騒ぎだ…?
アン「アンタら見ないけど、他の学校の人?こっちは葉後高校だけど」
男1「うん…」
男2「うん。そうだよ」
どうやら、ほんとに他の学校の生徒らしい。
アン「んー、アキさんとアンタら、状況を説明してくれる?」
アキ「こ、こいつらがいきなり水ぶっかけてきて…!」
男1「うわ———ん!!ひどいよ———!!ぼくたちはちゃんと謝ってるのに、その人が許してくれないんだよ——!!」
男2「うわ———ん!!そうだよ———!!ぼくたちはちゃんと謝ってるのに——!!」
!
アキ「はあ、ふざけんな!謝ってねぇだろそれ!」
男1「わざとやったんじゃないのに———!!」
男2「そうだよそうだよ———!!」
アキ「!!っざっけんなてめぇら!!どう見たってわざとだろがあれ!!」
エミ「ま、待って!アキちゃんの話も…」
男1、2「うわ———ん!!せんせ———い!!」
男たちの先生「こらキミ!この子たちは謝っているんだぞ!わざとじゃないんだから許してあげなさい!!」
ブチッ。
アキ「ふっざけんなよてめぇ!!こいつらの味方すんのか!?馬鹿なんじゃねぇのか!!」
先生「こ、こら、キミ、落ち着きなさい!!」
男1、2「うわ———ん!!うわ———ん!!」
……。
ああーくっそ…!なんでこうなんだよ…!!
さっきこの男どもはあたしにわざと水ぶっかけて、びっしょびしょのあたしを見て笑ってやがった……!!おもっくそ馬鹿にしてたのに…あたしが言い返した途端嘘泣きし出しやがった…!それを向こうの先公はまんまと信じてやがるし…、もう、これじゃなんにもできねぇじゃねぇかよ……!!
くっそ…、くっそ……!!
……、近くに鉄のバケツが置かれてるな。濡れてるようだし、これでアキさんに水をぶっかけたんだろう。そして、あの男二人が言うには、あのバケツでうっかりアキさんに水をかけてしまった。でも、アキさんはわざとって言ってる。水をかけたのは、わざとか、わざとじゃないか……。
………、
鉄のバケツ、わざとじゃない、口悪い、先生、—————、
なるほどね。
アン「ちょっと待っ キョウ「ちょっと待ってください」
!
キョウ「この人(アキさん)はわざとって言ってます。ちゃんとこの人の話も聞いてください」
—、キョウくん?
アキ「——、お前…」
男1「で、でも、こんな口悪いやつのこと、だれが信じるんだよ!!こっちはわざとじゃないって言ってんだぞ!!」
男2「そうだそうだ!!」
キョウ「……、たしかに、真瀬さんは、口は悪いけど…、でも…、正直な人だから!ほんとのことをちゃんと言う人だから!」
アキ「!、———」
——キミ、正直だね?
——ほんとのことしか言ってないんだから、文句はないでしょ?
キョウ「だから、本当にわざとかもしれない。もし、真瀬さんの話を聞いて、わざとってわかったら、ちゃんと謝ってほしい」
アキ「お、おい、待て、お前…。あたしさっきキミのことボロカス言ったよね?なのになんで助けるわけ…?」
キョウ「ちょっと、なに言ってんの!助けるのに、さっきのこととか関係ないでしょ!」
アキ「!、———」
男1「ふ、ふざけんな!!こっちはわざとじゃねぇって言ってんのに、わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇ!!」
男2「そうだそうだ!!わざと水をかけたなんて証拠、どこにも…、」
アン「いーや、わざとだな」
!?
男1、2「な、なんだ、てめぇは!?」
アン「水をぶっかけたのは、わざとだ」
女子「きた、アン!」 男子「よっしゃ、やったれー!」
わーっ!!
アン「さてと、キョウくん、アキさん、こっからはオレに任せてよ」
アキ「え…?」
アン「あの男二人が汚ったない手で隠した真実、引きずり出してあげるから」
アキ「な…、キミ一人で…、どうやって……」
キョウ「真瀬さん。ここは、住伏くんに任せてよ」
アキ「…、はぁ?」
メイ「そうそう!ここはアンに頼めば大丈夫!」
アキ「ど、どういう……」
メイ「アンはハート探偵。真実はぜーったい逃さないから!」
よーっし。気合い入った…。それじゃあ、推理を始めますか!
NEXT 調査ファイル⑤「アキ」(解決編)
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