調査ファイル④「エミ」(事件編)

 

 1年空組座席表

霧道 文永
(むどう フミ)
菱本 鎌
(ひしもと レン)
気田 広陽
(きだ コウヨウ)
五星 桜
(いつほし サクラ)
澄江 晴香
(すみのえ ハルカ)
 
空見 律花
(そらみ リツカ)
真瀬 亜希
(まなせ アキ)
鋼 勇斗
(はがね ユウト)
球本 鋭
(たまもと エイ)
友寄 励奈
(ともより レイナ)
長谷川 恵美
(はせがわ エミ)
突山 斗希
(つきやま トキ)
宮上 穂花
(みやがみ ホノカ)
羽根元 甲斐
(はねもと カイ)
弦川 鳴
(つるかわ ナル)
望波 美輪
(もなみ ミワ)
転尾 秀
(ころび シュウ)
音雨 京
(おとめ キョウ)
角永 慧
(すみなが ケイ)
添橋 光
(そえはし コウ)
二芽 蒼
(ふため ソウ)
果苗 流那
(かなえ ルナ)
籠 闘条
(かご トウジョウ)
水会 霞
(みずえ カスミ)
一原 未来
(いちはら ミク)
遠道 海斗
(とおみち カイト)
道仲 奏
(みちなか カナデ)
弓川 色翔
(ゆみかわ イロト)
包咲 果瑠
(つつざき ハル)
城翔 璃穏
(じょうしょう リオン)
相原 星
(あいはら セイ)
刻花 党香
(こくばな トウカ)
響 美音
(ひびき ミオ)
砂守 実花
(すなもり ミカ)
一道 心
(かずみち シン)
住伏 暗
(すみふし アン)
櫻花 明
(さくらか メイ)
切本 結理
(きりもと ユリ)
幻中 千華
(まぼなか チカ)
打風 里代
(うちかぜ リヨ)
風岡 舞
(かぜおか マイ)

 

 2022年4月27日(水)

 

 オレ、住伏 暗(すみふし アン)。スミに突っ伏してる暗いヤツって書いて、住伏 暗(すみふし アン)。葉後高校(はあとこうこう)の1年空組に通ってます。今日は来週の課外学習について、班のみんなで話し合いに。

 

 班のメンツは以下8名。自己紹介乗っけるね。

班員1、レイナ「とりあえず、自己紹介しとこっか。まだだれがだれかわかんないし…。えっと…、友寄 励奈(ともより レイナ)です。おねがいしまーす…」

班員2、エミ「えっとー、長谷川 恵美(はせがわ エミ)です。一番ゲラなヤツです笑」

班員3、ミワ「えーっと、望波 美輪(もなみ ミワ)でーす…」

班員4、ルナ「えっと、果苗 流那(かなえ ルナ)です、えっとー、おねがいしまーす…」

班員5、キョウ「音雨 京(おとめ キョウ)です。よろしくお願いします」

班員6、シュウ「えーっと、転尾 秀(ころび シュウ)です。おねがいしまーす」

班員7、セイ「…相原 星(あいはら セイ)です。おねがいします」

班員8、アン「……あ、オレだ。えっとー、」

 

レイナ「住伏くんでしょ」(ビシッ)

アン「あ、すげ、なんで知ってんの?」

レイナ「なんでって、いっつも言ってるじゃない…、スミに突っ伏してる暗い子って、毎回言ってるもん笑」

シュウ「すごいよなw、そんなよう出来た名前って」

アン「ほんと、これでよう役所の許可下りたよね」

エミ「アハハ、たしかに!」

シュウ「うわっ、テンション高…」

レイナ「ああ、この子ゲラなんで笑」

ルナ「ゲラ…?なにそれ」

エミ「え!知らないの!?うそだー笑」

ミワ「ほら、こういう子をゲラっていうのよ。ゲラゲラよう笑うって意味で」

キョウ「ま、たしかにそんな感じはするよね…」

 

 こんな会話をしてるときは、あんな波乱の課外学習になるとは思ってもみませんでした。それじゃ、こっからどんな事件が起こるのか、ご覧ください…。

 

  〈事件〉

 

 事件が起きたのは、課外学習の打ち合わせを続けてたとき。レイナさんが班長になって、仕切ってたんだけど…、

レイナ「(打ち合わせ用のプリントを見て)ここ、どうする?」

ミワ「あー、どうしよっか」

キョウ「でも、できるだけ早い方がいいんじゃないかと…」

レイナ「ん、そうねー、どうしよ…」

 

エミ「まあ、でも、正直なんでもいいよね笑」

 !

レイナ「ちょっと、もうちょいまじめに考えてよ…。これちゃんと決めないと、怒られるの班長のわたしなんだから」

 

エミ「えー、でも、班長なんて正直名前だけの仕事じゃん笑」

 ビリッ。

レイナ「え、なにその言い方…」

 あ、やばいな、これ…。

レイナ「少しはまじめに考えてよ!!」

エミ「!?」

 ざわざわ…。

ミワ「れ、レイナちゃん…」

ルナ「ちょ、ちょと落ち着きな」

レイナ「あ…、———」

エミ「……」

 あちゃー、やっぱこうなったか…。デリカシーのないことポンポン言っちゃうから。まこっからこの事件がどう展開していくか…、見物だよ。

 

  〈調査〉

 

 4月28日(木)、昼休み——…。

 

メイ「どう?クラスのみんなに話聞いてみて」

アン「いや、特になんにも」

 事件のときクラスのみんなから状況がどんな風に見えてたか、レイナさんとエミさんがどんな人か、それに一緒に班組んでるミワさんとルナさんのことも調べたけど、特に気になる情報は得られずだね。

メイ「そっかぁ…」

ミワ「もー、なにやってんだか、あの二人…」

ルナ「課外学習、今度の月曜なのに…。明日から連休だし」

 今回の事件は、

①エミさんが班長のレイナさんを馬鹿にした。

②レイナさんがキレた。

③もうすぐ課外学習なのに、どうしよ。

 っていう話。ミワさんとルナさんも困ってるみたいで、オレになんとかしてくれって依頼してきたってわけ。まあ、オレとしては真実がつかめたら解決はしなくてもいいんだけども…。

アン「っていうか、このクラスが事件起きすぎなのよ」

メイ「あー、それはあるかもね…。でも、どうするの?めぼしい情報がないんだったら、解決しようがないんじゃ…」

アン「うーん、クラス全員に話聞いて成果なしってなると、本人に聞いてみるっきゃないかなー」

ミワ「ああ、それなら4人で集まって話してみようかって思っててさ」

 !、4人で?

ルナ「そうそう。そこでなんとかできたらなって思って」

 へー、ずいぶんまじめに考えてますなー。

アン「けど、それって、うちら近くで見てていいもんなの?それか、どっか別の場所で待っとく方がいいのかな」

ミワ「あ———、いや、見てていいよ。住伏くんもうちの班だし」

ルナ「うん。見てて」

アン「そっか。じゃあ、見とくよ。がんばりな」

メイ「がんばってね!」

ミワ、ルナ「ー、うん!」

 仲良しグループ4人で集まって話し合いか…。仲直り…だっけ。できればいいけどね。

 

 放課後——…。

 

 ………。

レイナ「………」

エミ「………」

 4人で集まったものの、地獄のような空気感よ…。レイナさんもエミさんも、なんで呼ばれたのって感じになってる。

ミワ「というわけで、二人に集まってもらったんだけど…、ねぇ、もう仲直りしよ!いろいろあるのはわかるけど、けんかしててもしょうがないし…、だから、二人とも謝って、仲直りしよ!」

レイナ「………」

エミ「………」

 ……、だんまりかー……。

ルナ「とりあえず、目ぐらい合わしたら?」

ミワ「あ、あのさ、レイナちゃん。エミちゃんは、あ、あんなつもりで言ったんじゃないと思うのよ…」

 ——えー、でも、班長なんて正直名前だけの仕事じゃん笑

レイナ「………」

ミワ「それにエミちゃんも…、レイナちゃん、がんばってるんだから。ほら、班長決めたときにさ、」

 

 [回想]

 

 レイナ「班長、だれにする?なんか、いろいろやることあるみたいだけど…」

  ………。

 レイナ「あー、だれもやんないなら、わたしやるけど…、いいかな?」

 エミ「おねがいしまーす!」

 レイナ「じゃ、うちがやっとくね」

 

ミワ「名前だけの仕事なんてことない。レイナちゃん、班のみんなのためにがんばってるんだよ」

エミ「………」

ミワ「だから!二人とも今回のことは水に流して!課外学習なんだからさ、仲直りして、楽しくしよ!」

レイナ、エミ「………、」

レイナ「エミちゃんが謝るんなら許してあげる!」

エミ「レイナちゃんが謝るんなら許してあげる!」

レイナ、エミ「あ……、ふん!」

ルナ「この二人、息ぴったりすぎでしょ…」

レイナ「わたしは謝んないよ!班長の仕事、結構大変なんだから」(出てく)

エミ「そ、それならうちだって…!」(出てく、逆のドアから)

ミワ「ちょ、ちょっと二人とも!」

 ガラッ、ピシャッ!

 あらら、二人とも出てっちゃった…。

ミワ「も——、なんでこうなんのよ」

メイ「上手くいかないね…」

アン「あんなにいい言葉並べたのに、聞く耳持たなかったね」

ルナ「なんか息はめっちゃ合ってたけど…。とりあえず、今度の課外学習、平和に乗り越えれたらいいけど…」

ミワ「…、そうねぇ」

 

メイ「———………」

 ん?

アン「どったの?メイちゃん、ぼーっとして」

 

メイ「——後悔…」

 

アン「ん?」

メイ「あ、ごめん…。昔、なんか、だれかわかんないんだけど…、すっごく好きな友達とけんかしちゃって…、ほんと些細なことでけんかして…。そのときにだれかから言われた気がするんだ。ここで謝んないと、ずっと後悔するよって」

 ぅん?

アン「え、それって、けんかした相手の子も、後悔するって言ってきた子も、だれかわかんないってこと?」

メイ「うん。なんか、思い出せなくて……」

アン「えー、なに、その怖い話…」

メイ「ちょ、ちょっと、引かないでよ!まじめに話してんだから!でも、覚えてないってことは、多分謝らないまま会わなくなっちゃったんだろうなって思ってさ…」

 !

メイ「だから、レイナちゃんとエミちゃんには、わたしみたいになってほしくないなって思って…。意地張ったり、怖かったりするのわかるけど、ちゃんと謝って、仲直りしてほしいなって思ってさ……」

 ………、—、

アン「それだったら、3人にちょっとおねがいがあるんだけど」

メイ、ミワ、ルナ「ん?」

 

 校舎前、休憩場所——…。

 

エミ「…、やっぱり来たね」

アン「こんなへんぴなとこにいるから、探すのに苦労したよ」

ルナ「こんなとこで、なにしてたのさ」

エミ「…、ちょっと考え事…」

アン「レイナさんのことでしょ?」

エミ「—、そっちはなにしにきたのさ」

アン「調査」

エミ「…、やっぱり…。キミとルナちゃんが来たってことは、レイナちゃんのとこにはミワちゃんとメイちゃんが行ってるんでしょ」

 その通り。今エミさんに言われた通り、メイちゃんとミワさんには、レイナさんに話聞きにいってもらってる。で、こっちはエミさんに聞きにきたってわけだ。

ルナ「エミちゃん、ほんとはあんなこと思ってないんでしょ?」

エミ「…あんなことって?」

ルナ「ほんとは、レイナちゃんに謝って、仲直りしたいって、思ってるはずよ」

アン「そうじゃないと、ルナさんたちに集められても、最初から無視して出てくはずだよ。さっきもほんとは、ずっと謝るタイミングを探してたんでしょ?」

 ………。

エミ「……うん。もうほんとは、早く謝りたいんだ…。自分が悪いのわかってるから……」

ルナ「じゃ、なんで」

エミ「なんか…できなくて…それが。ごめんって言うだけなのに、なんでだろ……、できないんだよね……」

 

 [メイとミワの報告]

 

 レイナ「わたし、どうするのがいいんだろ…」

 メイ「うーん、わたし的には、仲直りしてほしいな…。さっきミワちゃんたちには話したけど、わたしはそれができなかったから」

 レイナ「…、できなかった、って…」

 ミワ「そのまま会わなくなっちゃったんだってさ。まあ、そのけんかした友達がだれなのかは覚えてないみたいだけど」

 レイナ「お、覚えてないの…?そんな印象残ってるのに?」

 メイ「うん。忘れちゃった笑、っていうか、全部夢だったとかあるかも…」

 レイナ「えー、でも、それって…、なんだろ、幼稚園のときのこととか?」

 メイ「わかんない。でも、会わなくなったら、こんな感じで忘れていっちゃうのかも。だから、レイナちゃんには、わたしみたいになってほしくなくてさ。ちゃんと謝ったら、多分ダメだったとしても忘れないと思うから」

 レイナ「———、でも……」

 ミワ「エミちゃんだって、あんなこと言ってるけど、絶対謝んなきゃって思ってるわよ!」

 メイ「だから、課外学習のとき、もっかい謝ってみよ!ね!」

 レイナ「……………。———……、…うん。そうだよね。………、やってみる」

 

メイ「『……………。———……、…うん。そうだよね。………やってみる』」

アン「え、なに…、間長くない?」

ミワ「そんな溜めてたっけ、レイナちゃん……」

メイ「溜めてた溜めてた!めっちゃ溜めてたもん」

 ちょっとものまね入ってるな…。こんなことする人だったとは…。

メイ「だから、レイナちゃん、課外学習の朝にもっかい謝るって言ってたよ」

ルナ「そう。こっちもエミちゃん、謝りたいって言ってたし、なんか意外と大丈夫そうね笑」

ミワ「まったくもう、素直じゃないんだから、二人とも…」

メイ、ルナ「そうそう笑」

 ……。

メイ「じゃ、今日はもう帰ろ。課外学習に向けて休んどかなきゃ」

ミワ「えー、でも、うち休み中も部活あるんだけど…」

ルナ「じゃ、なおさら今日休まなきゃ。当日山登るんでしょ?」

 ………、なーんか引っかかるんだよなー。なんか話が上手すぎるような。なにか見落としてるような…。まあ、とりあえず、来週の課外学習乗り越えるか。

 

 こうやって楽観的に考えてたオレだけど、課外学習当日にとんでもない展開を見ることに……。まさかあの人がそんなことするとは、こんときは思ってなかった……。

 

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