調査ファイル③「カスミ」(解決編)

事件編はこちらから→ https://sumifushiun.hatenablog.com/entry/2022/07/17/234527

〈前回のあらすじ〉

 すぐに嘘つくってとこから『ホラ吹きのカスミちゃん』って呼ばれてる、カスミさん。いったいどこまでの嘘つきなのか…?

 

 2022年4月26日(火)、昼休み——…。

 

アン「クラスメール?」

キョウ「うん。今メンバーを集めてるとこでね。もうすぐ全員揃うんだ」

アン「クラスメールって、なに、クラスのみんなでやり取りできるの?」

メイ「ぅん。わたしも…もぐもぐ…入ってる…もぐもぐ…よ」

ユリ「食べながら話すのやめなさいよ…。でも、クラスの連絡ごととかそういうのでするから、入っといた方がいいんじゃね?」

アン「ま、いいけど…」

 クラスメール、ね…。まさかオレが誘われるとは思ってなかったよ。

メイ「ユリちゃんは入った?クラスメール」

ユリ「ああ、うち入ったよ。トウカが誘ってきたから」

アン「今どれくらい入ってんの?」

キョウ「えっとー、今35人だから…、キミが入ったら36人で、あとちょっとだね」

 へー、そんな入ってんだ。

アン「あれ、カスミさんは入ってんの?」

キョウ「いや、入ってないけど…、っていうか、なんかあったのかい?やたらと彼女のこと聞いてくるけど…」

アン「げ…、えぇと…」

 事件のこと隠してるのにも限界があるかー…。カスミさんがみんなから叩かれたりしないように、昨日のことは言わないようにしてるけど…。

ユリ「まったく、なに隠してるのか知らんけど、隠しごとはよくないわよ?」

アン「まーまー、そのうちわかるから」

 やばいなー…、みんな疑い出してる。

メイ「どうするの?早くなんとかしないと、事件のことバレちゃうよ?そしたらカスミちゃん、みんなから叩かれちゃう…」

アン「ん—————…」

 

 ——だから、ちがーう!!こぼしたのはわたしじゃなくて!この三人だよ!!この三人がこぼした!!

 ——なんか自分に都合の悪いこととかあったら、いっつもああやって嘘ついて逃げるの。忘れ物が先生にバレたときに、隣の席のうちに貸したとか、移動教室遅れたときに他クラスの人にじゃまされたとか…。

 ——教科書取られたって嘘でしょ!じゃ、だれに取られたの?忘れただけでしょ!!

 ——そんなのその場しのぎに決まってるじゃん。とりあえずその場だけごまかして、楽しようって思ってんでしょどうせ…。

 

アン「………じゃあ、こんなのはどう?」

 

 五時間目——…。

 

先生「さて、今日はこちらの実験室で、班ごとに実験をしてもらいます」

みんな「はーい」

 わいわい…。

 五時間目の授業は実験室に出張して、班ごとに理科の実験。うちの班のメンツは、メイちゃん、リオン、セイ、カスミちゃん、ミクさん。まあ、昨日の掃除と同じ。最近この班での行動が多いなー。

アン「実験なんて久々ー。足引っ張んないようにしなきゃ。ねぇ、カスミさん?」

カスミ「………」

ミク「ほっといたら?どうせ困ったらまた変な嘘つくんでしょ?」

 ………。

ミク「———っ、実験用具取ってくる」

 …、なんか、

アン「なんか、機嫌悪いね、ミクさん」

リオン「あー、席が隣でよう嘘つかれてるからじゃね?」

セイ「まあ、あの感じはもう愛想つかしてるな」

アン「ふ——ん……」

 わいわい、がやがや…、

アン「えっと、この液体をこっちに…」

リオン「あー、ちげっ。この色ついたやつを…」

 

 パリーン!!

 

 ん?なんだ、今のなんか割れたような音?

男子「な、なんだ!?」

女子「あ!試験管が、落ちて割れてる!」

女子「あんま近づいたらダメ!」

 ざわざわ…。

カスミ「あ…、あ———…」

 どうやら、試験管を割ったのは、カスミさんみたいね。さ、どうするかな、カスミさん。ちゃーんと自分のやったことを認めるかなー?

先生「ど…、どうしました?」

 はぁ———…!……ば…バレたら…、先生に…怒られる……!!

メイ「か、カスミちゃん、けがとかしてない…?」

 っ!!、………、

 ———!、

カスミ「ちっが—————う!!こ…これは、よ横にいたメイちゃんが…、横から急にわたしを押してきて…そ、それで試験管を落としちゃったから…だから悪いのはわたしじゃなくて、メイちゃんだ!メイちゃんが悪いんだ—————!!」

 ………。

カスミ「…は…はぁ…はぁ…はぁ……」

 

アン「なーんだ、そういうこと」

 

カスミ「!?、え…」

メイ「え…ま、待って、アン。わたしじゃないよ…?」

アン「まさかキミが、そんなことするヤツだったとはねー」

メイ「え?ち、ちがうよ、待って!」

アン「人にわざと失敗させて、怒られるように仕向ける。そんな悪い趣味を持ってたなんて…、信じらんない」

メイ「っだから!ちがうってば!!」

男子「嘘つくんじゃねーよ!」

男子「そんなことするヤツだったのかよ、お前!!」

女子「最低ー!!」

男子「謝れー!!」

メイ「ち…ちがう…!ちがうよ…みんな……。ちょっと…、待って…。待ってよ…」

みんな「櫻花の嘘つき——!!」

メイ「———ちがうってば—————……!!」

 ブーブーブー……。

 

 放課後、教室——…。

 

カスミ「———……」

アン「一人でなにしてるの、カスミさん?」

カスミ「っ!…住伏くん…」

アン「なにか考え事でもしてたの?」

カスミ「——、いや、べつに…」

アン「あ、そう。しっかし、今日のメイちゃん、あれはひどかったねぇ」

カスミ「!!、」

アン「キミも災難だったねー。試験管持ってるときに横から押されるなんて。ほんっと悪趣味、見損なっちゃった」

カスミ「……———…」

アン「まあ、彼女もキミと同じく嘘つきだったってわけで」

 

カスミ「ちがう…!!」

 

アン「へ?」

カスミ「…住伏くんなら、わかったはずだよね。わたしが嘘ついてること」

アン「え?なに?なんのこと?」

カスミ「だから!わたしが嘘ついて、メイちゃんのせいにしたってこと!!ハート探偵って呼ばれてるキミなら、気付いたはずでしょ!?」

アン「え?嘘?どういうこと?」

カスミ「だから!!わたしが、メイちゃんは関係ないのにメイちゃんが横から押してきたって嘘ついたんだよ!!キミなら…、気付いたはずなのに……!」

アン「え、あれ嘘だったの?」

カスミ「そうだよ…!!」

アン「あ——、ごめん、オレ、嘘にはうといんだよねー」

カスミ「あのときキミが気づいてくれてたら…、こんなことにならなかったじゃない!!メイちゃん、あんなにみんなから叩かれて…、先生にも怒られて…。キミが最初に責め出したせいで、メイちゃんがどれだけ……!!」

 

 ——まさかキミが、そんなことするヤツだったとはねー。

 ——櫻花の嘘つき——!!

 

アン「えー、でも、それは嘘ついたキミが悪くない?」

カスミ「そ…それは……」

アン「なんでそうやって人のせいにする嘘をつくわけ?」

カスミ「それは…、嘘をつけばいろいろ楽に乗り切れると思ったからだよ!!だって…、怒られたくないんだもん!!適当に嘘ついてごまかしてれば、怒られずに楽に過ごせると思ってたのに…、なのに…、こんなことになるなんて……!!———!!」

 ………。

 

アン「おーい、みんなー、そろそろ出てきていいよー」

カスミ「え…?」

 

 ぞろぞろぞろ……、

 

カスミ「………え?え…?え…?…えぇ—————!?な、なんでみんないるのー!?」

ミク「やっぱそういうことだったの?カスミちゃん」

メイ「カスミちゃん…」

カスミ「え…え?はぁ…!?な、なんで…、なんでみんなここに!!」

アン「………」

カスミ「ちょっちょっと住伏くん!?なんで!?」

アン「あー、それはね、キミが嘘つくのをみんな待ってたからよ」

 ………。

カスミ「え…。え!?な、なにそれ!!どどど、どういうこと!?待ってたって…え!?」

アン「だからー、うちらがメイちゃんを叩いてたのは嘘って言ってんのよ」

カスミ「な……は…はぁ!?な、なんでそんなこと…!!」

アン「キミがどこまで嘘をつき続けるか、確かめたくてね。まず、作戦を思いついたのは、昼休みにクラスメールに誘われたときだよ。あのとき、キミはまだクラスメールに招待されてなかった。だから、キミ以外の全員にクラスメールに入ってもらって、昨日の事件のことを説明して、みんなで作戦を立てて。

 そしたら思ってたよりも早くキミがやらかしたもんだから、こっちはそれに乗っかってメイちゃんを責めてたってわけ。それでもキミが嘘をやめないから、先生に事情を説明して、ここまで粘らせてもらったってわけさ」

 

 クラスメールは、入ればそのグループ内のみんなでやり取りできる、クラスの連絡網。逆に入ってなかったら、クラスメールでやり取りされてることは一切把握できない。それを使ってカスミさんに嘘を仕掛けた。

 カスミさんが次に嘘をついたら、みんなでその嘘に乗っかるように頼んどいた。嘘をつくことでどんな結果になるか、それで思い知らせるって作戦。つまり、メイちゃんが責められることは、本人含めみんな知ってたってわけ。

カスミ「あ…あぁ……うぅ…」

 がくっ…。

 

 ………。

アン「もし、これが嘘じゃなくて、本当にメイちゃんに罪を着せてしまってたとしたら…、どうなってたと思う?」

カスミ「……あ…」

アン「さっきキミが言ったとおりだよ。クラスのみんなから相当言われただろうし、先生からも嘘の罪で怒られる。キミが着せようとした罪以上に重たいわよ、それは」

カスミ「ぁ…あ…」

メイ「……カスミちゃん…♪」

カスミ「ごめん…!!メイちゃん!!」

メイ「!」

カスミ「わたし、怒られるのが怖くて…、それでメイちゃんのせいにしちゃって!!ずっと言い出せなくて…!このまま…、メイちゃんのせいにしたままずっと生きてこうって…そう思っちゃったぁ……!!ごめんね………。ごめんね…!!」

メイ「ああ、わたしなら大丈夫だから♪…ね?」

カスミ「うぅ…嘘だぁ…。大丈夫じゃないって…わかるのに……!大丈夫じゃないって言ってよ……!!」

 うっ…うっ……。

アン「—…」

 ♥→♡

 これが、この人の真実か。嘘つきは、ここまでってわけね。

 

 教室にもどって——…。

 

ユリ「さっきのメイちゃんの反応、カスミには辛かったんじゃない?」

メイ「え、辛かったって…?」

ユリ「ああいうときって、大丈夫って言われるのが、一番辛いんだよ。大丈夫って言って、自分が悪いってことは認めてくれないもの」

メイ「え、そうなの?」

ユリ「だって、謝ってるのに逆に助け求めてる感じだったじゃない?」

 ——うぅ…嘘だぁ…。大丈夫じゃないって…わかるのに……!大丈夫じゃないって言ってよ……!!

メイ「え…、なに?ちょっとわかんない…。どういうこと?アン」

 ほんとにわかってないのかな、この人…。なんか本当のとこはわかってそうだけど……。

アン「いや、オレに言われてもわかんない…。まあ、悪かったわよ。嘘とはいえ、みんなに責められたり、先生に怒られたりして、怖かったでしょ?」

ユリ「ほんと、そう。うちもやってて怖いと思ったし。ごめんね」

メイ「え、べつに、怖くなかったよ?嘘ってわかってたしっ。それに…、」

アン、ユリ「それに?」

メイ「それに、キミたちのこと信じてたし!だから、怖くなかったし!」

 な、なんか…、怖っ…。全然本音が見えない…。

アン「なにそれ、怖すぎるんだけど…、そりゃカスミさんも疑うわな…」

ユリ「そうそう、こういうのが怖いのよーw、逆に」

メイ「えー、なんでー…」

 謝ってるのに笑われたら、逆にキレられるより怖いヤツ。それって多分、相手がなに考えてるかわからないからだよなー…。

メイ「でも、カスミちゃんなら大丈夫だよ、クラスメール入ったから♪」

ユリ「そなの?へー、てことは…」

 

 1年空組クラスメール

ふみ れん 気田 さくら haluka  
そらみ まなせ 勇斗 えい れいな えみ
突山 ほのか kai ナル みわ Korobi
Kyo^ コウ 二芽蒼 runa 闘条
かすみ みく とおみち かなで いろと はる
りおん sei とうか ひびき みか かずみち
un Mei 結理 ちか りよ Mai

 

メイ、ユリ「1年空組、全員そろったー!!」

 

 まったく…、わかんない人ね、櫻花さんって…。